スパイダーでPHEVのスーパーカー マクラーレン新時代 アルトゥーラMY25発表でオープンモデル追加
公開 : 2024.03.05 07:05
サウンドとパフォーマンスの力強いクレッシェンド
マクラーレンのハイパフォーマンス・ハイブリッド・パワートレインはキャリブレーションが変更された。
MY25アルトゥーラではV6内燃エンジンの最高出力が20ps向上して、総最高出力は700psに高まった。増大した出力は4000rpmからレッドラインの8500rpmの間に集中しており、パフォーマンスに明らかな「クレッシェンド」をもたらしたという。
最大トルクは強大な73.42kg-mで変わらないが、トルクデリバリーは電子的なマッピングをわずかに変更して最適化されたという。ドライサンプ式、アルミニウム製3L M630型ガソリンエンジンは、今や比出力が200ps/Lを超え、極めてコンパクトかつ軽量だ。同時に重量160kgとマクラーレンV8より50kg軽く、大幅に短くなってパッケージングの効率性が高まっている。
こうしたサイズが実現したのは、バンク角を120°としたため、これは低重心化にも貢献している。この設計によって、排気システムでの圧力ロスが低減されると共に、高強度クランクシャフトの採用や、8500rpmというレブリミットが可能となった。加えてV6エンジンの吹け上がりの鋭さは、ツイン・ターボチャージャーを「ホットV」に配置したことで実現した。この配置によってターボチャージャーの回転上昇が速まり、スロットル・レスポンスが向上している。
エンジンサウンドも強化された。バルブを改良した排気システムに、調整を施したレゾネーターを組み込み、テールパイプを上向きの円錐形とすることで、中~高回転域のエンジンノートがさらに洗練されているという。その結果「よりクリーン」なサウンドが乗員を包み込むとマクラーレンは表現する。
オプションにはスポーツ・エグゾースト・システムもあり、全体に強化されたさらにクリーンな音色を提供する。また、テールパイプからキャビンへ本物のサウンドを送り込むエグゾースト・シンポーザーによって、ドライバーとの一体感がいっそう強まっているという。
アルトゥーラのV6が誇るレスポンスとパワーを補うのが、極めてコンパクトなアキシャル・フラックス型Eモーターだ。Eモーターはトランスミッションのベルハウジング内に位置し、最高出力95ps/最大トルク22.94kg-mを発生。1kgあたりの出力密度は、アイコニックなハイパーカーであるマクラーレンはP1のシステムを33%も上回る。
Eモーターに電力を供給するバッテリーパックは、5個のリチウムイオン・モジュールで構成され、実効容量は7.4kWhで、EV航続距離は33kmに伸びた。バッテリーは冷却レールを使った冷媒冷却方式であり、バッテリー電力を車両後方からフロントの補機類に伝送する配電ユニットも含めたアッセンブリーは、構造の一部を成すカーボン・ファイバー製フロアにマウントされることでアッセンブリーをモノコックのリア底部にボルト付けし、剛性や重量配分、衝突保護性能を最適化している。
こうして、アルトゥーラのコンパクトなハイブリッド・コンポーネントは、88kgのバッテリーパックと15.4kgのEモーターを含め、総重量130kgとなった。これも、スパイダーが誇るクラス最軽量の車重に貢献しているという。
Eモーターによる瞬時のトルクデリバリーとツインターボV6エンジンが発生する605psのパワーによって、同一ギアでも複数のギアでも同様に、極めて鋭いスロットル・レスポンスと加速が実現している。
アルトゥーラ・スパイダーの公式な加速時間は、0-100km/hが3.0秒、0-200km/hが8.4秒、0-300km/hが21.6秒。330km/hに制限された最高速に至るまで、いかにハイレベルなスーパーカー・パフォーマンスが秘められているかをよく示していると彼らは述べた。
サーキットでのパフォーマンスを最適化するローンチコントロール・システムに加え、新たな「スピニング・ホイール・プルアウェイ」(ホイールスピンさせる発進)機能も標準で装備し、この機能はドライバー・ビナクルのESCボタンを押してエレクトロニック・スタビリティコントロールを解除することで作動し、静止状態からスロットルを大きく踏み込んだ際にドラマチックなホイールスピンを許容すると付け加えた。