ポルシェ・カイエン 詳細データテスト 無駄なアシストのないV8 クラス最高水準のドライバビリティ

公開 : 2024.03.09 20:25

内装 ★★★★★★★★★☆

外観で改良前後のモデルをすぐに見分けるのは難しいが、内装の違いは一目瞭然だ。カウリングが無くなった曲面デジタルメーターは、タイカンのそれに共通する。ダッシュボード両脇には縦型の送風口を備え、センタートンネルにはお馴染みのグラブハンドルが。垢抜けていながらもタフさを感じさせる。

質感も高い。大きなパネルやふんだんなステッチはもちろん、実体ダイアルで残った音量調整ノブやエアコンパネルといった小さな部分まで高価そうな仕上がりだ。

タイカンの影響が色濃いキャビンは、歴代最高レベルのエルゴノミクス。質感も低くないが、アップグレードを図るオーナーが多いことを理解できる程度ではある。
タイカンの影響が色濃いキャビンは、歴代最高レベルのエルゴノミクス。質感も低くないが、アップグレードを図るオーナーが多いことを理解できる程度ではある。

そうはいっても、テスト車の内装はほとんどオプションが未装着で、同等グレードのアウディSQ7やメルセデスGLEあたりと比べてスパルタン気味。標準のダッシュボードでも表面はソフトで、シートのサポート性も高いのに、みんなフルレザートリムと18ウェイのスポーツシートを選びたがる気持ちがよくわかる。

ウッドトリムも数多く用意されている。ベントレー並みとは言わないまでも、高級感はかなり高めてくれる。

エルゴノミクス的には、歴代最高だろう。多機能ステアリングホイールは新デザインで、このクラスではもっともスイートなフィーリングかもしれない。ヒップポイントから膝、足首の位置決めは、スポーティさと実用性が絶妙なバランス。後席レッグルームは新型メルセデスEクラスに匹敵する。

ポルシェらしい包まれ感もある。レンジローバー・スポーツあたりだともっとラウンジチックだ。オプションのパノラミックルーフを追加すれば開放感も増す。残念なのは、3列シート仕様がないことくらいだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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