ポルシェ・カイエン 詳細データテスト 無駄なアシストのないV8 クラス最高水準のドライバビリティ
公開 : 2024.03.09 20:25
快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆
エアサスであろうとなかろうと、ハンドリングと上質な乗り心地はトレードオフの関係にならざるを得ない。カイエンが絶対的に重視するのは前者で、それでいて後者もなかなかのものだ。とはいえ、ポルシェらしさをもたらす一体感は、ややはっきりとした路面への反応を生み、それが乗り心地をクラスベストから遠ざける要因となっている。
改良により、タイヤとホイールのサイズもアップ。ロードノイズの遮音性も高めてほしかった、とくに荒れた路面では。80km/hと113km/hでの室内騒音は63dBAと66dBAで、2019年のBMW X5 30dの62/64dBAに及ばない。もっとも、最近計測したレンジローバー・スポーツD300は、80km/h時は60dBAと静かだが、113km/h時には66dBAにまで跳ね上がった。
それを踏まえても、高速道路のお供としてはいいクルマだ。ノーマルモードなら、路面も吸収してくれる。視認性は良好で、エルゴノミクス的な快適性はすばらしい。
そしてポルシェは故意に、高級SUVの中では装備が乏しく、あれこれものほしくなるような内容にしててている。洗練性も運動性も満たしたいと思ってカイエンを買おうとすると、それに気づかされる。そしてオプション地獄にハマるのだ。これこそポルシェの常套手段。気づけば、アウディSQ7との9000ポンド(約171万円)近い価格差が小さくなっているのである。