「オンロード」で感銘 ベストバランスSUV BMW X3へ試乗 相性のイイ2.0Lディーゼル

公開 : 2024.03.11 19:05

オンロードで感銘を与えるSUV、BMW X3 実用性と高級感が巧みに融合した車内 相性ピカイチの20d このクラスでのベストバランス 英国編集部が評価

オンロードで感銘を受けるドライビング体験

オールセグメントといえるSUVラインナップを擁する、現在のBMW。X5が登場した1999年以来進化を重ね、近年は成熟期にあるように思う。

同社は、これまで150万台以上のX3をユーザーへ届けてきた。この3代目も確かな成功を掴んでいるが、アップデートを経てモデルライフ後半も盤石に乗切ることだろう。

BMW X3(英国仕様)
BMW X3(英国仕様)

ご存知の通り、X3は小さなX1と大きなX5の間に収まる、ミドルサイズ。英国価格はX1より1万5000ポンド(約284万円)高く、X5より2万ポンド(約378万円)安い。

ライバルは極めて多い。アウディQ5メルセデス・ベンツGLCというドイツ勢の他、ディフェンダーやディスカバリー・スポーツ、レクサスNXなどもしのぎを削っている。

X3のパワートレインは、ディーゼルとガソリン、プラグイン・ハイブリッドまで多彩。高性能なX3 Mと、バッテリーEVのiX3も存在するが、それは別の試乗レポートで触れることにしよう。

BMWがオフロードからインスパイアされたという、X3のスタイリングは凛々しい。しかし、ドライビング体験で感銘を受けるのはオンロード。動的能力で定評ある、ブランドらしい特長といえる。クラスベストには届かないとしても。

X3が基礎骨格とするのは、縦置きエンジン用のCLARプラットフォーム。比較的長めのボンネットと、短いフロント・オーバーハングを持ち、スポーティな雰囲気を持つ。キドニーグリルは大きいものの、iXほど誇張されたものではない。

実用性と高級感が巧みに融合した車内

ドアとボンネットは、アルミ製。フロアパンには高張力鋼板が用いられ、軽量化が意識されているが、試乗車の車重は1800kgを超えていた。操縦性が輝く、アルファ・ロメオ・ステルヴィオとほぼ同じ重さになる。

英国で提供されるグレードは、183psのガソリンターボ、X3 20iから始まり、190psのディーゼルターボ、20dに、264psの30d、プラグイン・ハイブリッドで325psの30e、344psのM40dという展開。トランスミッションは8速オートマティックだ。

BMW X3(英国仕様)
BMW X3(英国仕様)

すべてが、xドライブと呼ばれる四輪駆動。通常は40:60で前後に駆動力が分配されるが、必要に応じて変化する。急勾配での走りをアシストする、ヒルディセント・コントロールも標準。渡河水深は500mmがうたわれる。

車内は、実用性と高級感が巧みに融合されている。スイッチ類は上質なメッキ仕上げで、メーター用モニターは判読しやすい。内装トリムにはリッチな質感が備わり、製造品質はQ5にも負けていない。

フロントシートの座面は適度に低く、前方に開けた視界を得られるだけ高い。車内空間にはゆとりがあり、リアシート側でも頭上空間には不満なし。荷室容量は550L。背もたれは40:20:40に分割して倒せ、1600Lまで拡張できる。

プラグイン・ハイブリッドの場合、駆動用バッテリーが荷室の床下に搭載され、容量は100L小さくなる。この場合、広さはNXの方が有利になる。

インフォテインメント用モニターは充分大きく、レイアウトも適切。表示は鮮明で反応は素早く、音声操作もできる。一部の機能は、ジェスチャー操作にも対応する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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