600馬力「新型オープンカー」 本物の “木” 使用、超特殊なホワイト塗装も? 「世界に1台」だけの超高級車

公開 : 2024.03.05 06:05

ロールス・ロイスのオーダーメイド車シリーズ最新作「アルカディア・ドロップテイル」が初公開。アジアの建築にインスパイアされ、特殊なホワイト塗装やシルバーの仕上げ、そして内装の「超難関ウッド」など特別な1台に。

アジアの建築にインスパイア 孤高の1台

英国の自動車メーカーであるロールス・ロイスは、オーダーメイドの「ドロップテイル」シリーズの第3弾として、新たに「アルカディア・ドロップテイル」を公開した。

およそ2000万ポンド(約3億8000万円)を投じて製作したと言われ、そのスタイリングはインドネシア、シンガポール、ベトナムなど、依頼主が好む地域の建築やデザインからインスピレーションを得ているという。

ロールス・ロイス・アルカディア・ドロップテイル
ロールス・ロイス・アルカディア・ドロップテイル    ロールス・ロイス

ドロップテイル・シリーズは顧客の要望に沿って1台ずつクルマを設計・製作するプロジェクトで、これまでアメジストとラ・ローズ・ノワールが公開されており、今回のアルカディアはその最新作となる。

ロールス・ロイスによると、アルカディアの白い塗装にはアルミニウムとガラスの粒子が使われており、さらに細かく見ていくと「興味をそそられるレベル」になっているという。

また、依頼主はシルバーによる仕上げに強くこだわり、開発プロセスに深く関わったとされる。

加工に難儀したウッドパネル 時計にもこだわり

インテリアでは、依頼主の嗜好に沿って開発されたウッドパネルをふんだんに使用。質感を求めて「サントス・ストレートグレイン・ローズウッド」という木材を採用したが、従来のロールス・ロイスの市販車で使用される木材よりも硬く、技術面での大きな課題となった。

この木材は機械で加工すると裂けやすく、また乾燥すると割れやすいという。さらに、熱帯気候の中で木材を保護するために、特注のラッカーも開発しなければならなかった。当初は船舶と同じようなコーティングも検討されたが、定期的な再塗布が必要なため退けられた。

ロールス・ロイス・アルカディア・ドロップテイル
ロールス・ロイス・アルカディア・ドロップテイル    ロールス・ロイス

結果的に、ラッカーや塗装の開発、233枚の木材の加工には、合計8000時間以上を要したという。

また、ダッシュボードにはロールス・ロイス独自の時計が備わっているが、これも同社の部品の中で最も複雑なもので、研究に2年、組み立てに5か月を要したとされている。

デザイン責任者のアンダース・ワーミング氏は、「アルカディア・ドロップテイルでは、英国のラグジュアリーに独自の価値を見出す個人のライフスタイルを反映した、ミニマリズムと繊細さを大胆に表現しています。この歴史的な自動車を製作することで、最高レベルのビスポーク・デザインと我々の比類なき能力を証明することができました」と語っている。

パワートレインは、ロールス・ロイスお馴染みの6.75L V12ツインターボを搭載し、さらに30psのパワーアップが図られ、最高出力600ps、最大トルク85.7kg-mを発生する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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