車内にスワロフスキーの高級ガラス! 高輝度「透明ディスプレイ」 将来ダッシュボードに採用も?

公開 : 2024.03.05 06:25

自動車部品大手コンチネンタルとクリスタルガラスで知られるスワロフスキーが、透明な車載ディスプレイを開発。マイクロLED技術との組み合わせでインテリアデザインに革新も?

クリスタル・ディスプレイ+マイクロLED技術

近年、クルマの装備やデザインで最も議論の的となっているテーマの1つが「タッチスクリーン」だ。その使い方や機能性はさまざまだが、一般的に上級車種になるほど大型で派手なタッチスクリーンが用いられる傾向にある。

自動車部品大手のコンチネンタルと、クリスタルガラスで有名なスワロフスキー・モビリティが共同開発したクリスタル・センター・ディスプレイは、マイクロLED技術によって「前例のないレベルの輝度」を実現するという。

コンチネンタルとスワロフスキー・モビリティが共同開発したクリスタル・ディスプレイ
コンチネンタルとスワロフスキー・モビリティが共同開発したクリスタル・ディスプレイ

現時点では単なるコンセプトだが、将来的にディスプレイ技術がどこまで進化するのかを期待させる。立体的な表面は、ガラスのカットと同様の特殊な研磨技術で作られている。

マイクロLEDを使用することで、まるで画像がクリスタル内に浮いているように見せる効果がある。ディスプレイ自体は透明のため、視界を妨げにくく圧迫感も少ない。

ディスプレイ表面にタッチスクリーンの機能を持たせることもできるようだ。

浮遊感のあるビジュアルは、AI搭載アシスタントにも適しており、ホログラフィックなヒューマノイドとの対話も想像に難くない。

今年1月に米ラスベガスで開催されたCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)では、マイクロLED技術が大きな注目を集めた。例えばサムスンは、超高輝度・高精細の透明ディスプレイを披露した。

後部座席でのエンターテインメント、計器類、あるいはフロントガラス内蔵型のヘッドアップディスプレイ(HUD)など、インテリアデザインの幅が広がりそうな技術である。

通常のLEDスクリーンと異なり、マイクロLEDディスプレイではダイオードが直接色光を発して画像を形成する。ちなみに、マイクロLEDはわずか数ミクロンの大きさしかなく、画像を構成する1つのピクセルに3個ずつ配置されている。

OLED技術も、LED自体が画像を作るという点で、マイクロLED技術と似ている。しかし、OLEDの発光部品は有機分子でできているため(そのため有機ELとも呼ばれる)、劣化が比較的早いという弱点がある。

マイクロLED搭載のクリスタル・ディスプレイはさまざまな可能性を秘めたアイデアだが、市販車に導入されるのはまだ先のようだ。まずは商業用の超大型スクリーンとして世に出ることになるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェシ・クロス

    Jesse Crosse

    英国編集部テクニカル・ディレクター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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