中国メーカーBYD 日本参入から1年半経過で今後の行方は? BYDオートジャパン2024戦略発表会を取材
公開 : 2024.03.06 17:45
2024年は「シール」を導入
日本での販売網が拡大する中、BYDオートジャパンは2024年を「日本でBYDのビジネスをさらに加速する1年」にすると意気込んでいる。
2024年央にはスポーティな「シール」を導入する予定だ。さらに、2025年以降も「毎年1モデル以上の新型車を日本に投入する」ことを改めて強調した。中国で発売されているPHEVの日本導入計画はいまのところない。
一方「ドルフィン」の販売については、2023年9月の発表時点で年販1100台目標とし、月を追うごとに販売台数は着実に伸びたものの、現在のペースでは目標に届かない可能性がある状況だ。
その原因について東福寺社長は「型式指定の取得が遅れていること」を挙げた。現状では、輸入自動車特別取扱制度(PHP)で対応しており、そのためメーカー側が十分な供給体制を敷くことができない。PHPは販売台数が限定的な場合に有効である。
こうした状況を改善する。今年央に「シール」を販売するタイミングで「ドルフィン」も型式指定を確保するための準備を進めているところだ。
ただし、2024年の販売目標については個別モデル、また全モデルとしても社外には公開しないという。その理由について、BYDとしてはどう説明したのか?
エネマネ事業にも期待
BYDとしては、日本でEVを使った新しいライフスタイルを広めていきたいという大きな目標がある。
ディーラーを増やして、販売台数を伸ばすことが、自動車メーカー及び直系の販売統括会社としては当然の事業方針である。ただし、BYDはグローバルで「テクノロジー・グリーン・フューチャー」という企業メッセージを伝え続けており、EVを活用とした社会変革に対する意識がとても高い。
日本市場においては、2008年から事業者向けや自治体向けの蓄電池関連の事業を始めており、またEVバス事業では全国で約200台が既に導入されている。EVバス市場で見ると、BYDのシェアは70%を超えている状況だ。
こうしたBYD全体としての事業内容から見て、日本市場では今後、乗用EVを活用したエネルギーマネージメント事業を構築する余地が十分にあるのではないか。
劉社長も筆者の質問に対して「できるだけ多くの日本企業と(エネルギーマネジメント事業で)すり合わせをしていきたい」と答えた。
地域社会を念頭とした、モビリティも活用したエネルギーマネジメント事業については、日系自動車メーカーは実証試験は行うものの事業化にはまだ結びついていない状況だ。この分野で、BYDは大きく躍進できるポテンシャルがあると感じる。