「印象ダウン」なATと快適性 新名称で再出発の韓国ブランド KGMトーレスへ試乗

公開 : 2024.03.27 19:05

サンヨンからKGMへ改名し再出発 特徴の強いスタイリングのSUV 当面は前輪駆動のみ 印象を下げるATのマナーと乗り心地 英国編集部が期待を込めて辛口評価

SUV中心の自動車ブランドとして再生

「パワード・バイ・タフネス」を掲げ、再出発を果たした韓国のサンヨン。2023年にブランド名をKGMへ改め、新たなSUV、トーレスを発表した。「冒険がここから始まる」という、力強いキャッチコピーとともに。

インドの巨大複合企業、マヒンドラ・グループ傘下だった時代を経て、サンヨンは韓国の化学メーカー、KGグループによって買収。SUV中心のブランドに生まれ変わり、今後はスタイリッシュな見た目のバッテリーEVを提供する予定だという。

KGMトーレス(英国仕様)
KGMトーレス(英国仕様)

その過程での第1弾となるのが、今回試乗したトーレス。マヒンドラ時代に開発されたSUV、レクストンより僅かに大きく、全長は4700mm、全幅は1890mmある。直線基調の大胆なスタイリングが目を引く、5シーターのファミリーSUVだ。

現在提供されているのは、1.5L 4気筒エンジンの前輪駆動のみだが、四輪駆動とバッテリーEV版も追加予定とのこと。価格帯やサイズ的に、英国では日産キャシュカイ(旧デュアリス)やトヨタRAV4を検討する人の視野にも入るはず。

標準装備は充実し、荷室容量はこのクラスでは大きめの703L。果たして、競争の激しいカテゴリーで、期待通りの成果は上げられるだろうか。

個性の強いスタイリング 当面は前輪駆動のみ

特徴の薄いクロスオーバーが乱立する中で、個性の強いスタイリングをトーレスへ与えた、KGMの判断は称賛すべきだろう。今は前輪駆動のみだとしても、タフな走りを想起させる、オフローダー感が巧みに演出されている。

もっとも、ボンネット両脇のグラブハンドルや、バンパー下部のアンダーガード風トリムなど、装飾的な要素も多い。トランクリッドに加えられた、スペアタイヤ・カバーを模した膨らみは、間違いなく雰囲気重視だ。

KGMトーレス(英国仕様)
KGMトーレス(英国仕様)

それでも、KGMは路面とボディが接する角度、フロントのアプローチ・アングルと、リアのデパーチャー・アングルの深さを主張する。ブレーキ付きなら、1500kgのトレーラーまで牽引も可能だという。しっかり、SUVとしての要点は抑えられている。

四輪駆動が登場すれば、手頃で有能なSUVをお考えの山岳部に住む人や、農業従事者などから喜ばれそうだ。技術的な仕様は明らかではないものの、約2000ポンド(約38万円)高くなるようではあるけれど。

ドアを開くと、ダッシュボード上部に据えられた、緩やかにカーブを描くモニターパネルが目を引く。カッパー風のトリムパネルも効果的。インテリアデザインは、ベーシック・ブランドの中で上位の印象を狙ったという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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