「絶好調」ポルシェ、2024年に “減益” 予想のワケ 中国での業績落ち込みが水を差す
公開 : 2024.03.14 18:05 更新 : 2024.03.14 18:11
3年連続で過去最高の販売台数を更新したポルシェだが、2024年の業績予想は「減益」と慎重だ。新型車への多額の投資と中国での低調な販売が今年の見通しに水を差している。
もくじ
利益率の「低下」予想
ドイツの自動車メーカーであるポルシェAGは、2024年通年の業績予想で減益を見込んでいる。3年連続で過去最高の販売台数を更新してきたが、市場の変化と新型車への大規模投資のため、慎重な見通しを示した。
ポルシェの昨年の売上高は405億ユーロ(約6兆5000億円)で、2022年比で7.7%増加した。このうち営業利益が73億ユーロ(約1兆1800億円)、利益率18%であった。
しかし、3月13日のプレスリリースでは、2024年の業績について売上高400億~420億ユーロ、利益率15~17%と予測している。
2023年の世界販売台数は32万221台で過去最高を記録したが、需要落ち込みが続く中国市場では2022年比15%減の7万9823台となった。最大の市場は北米で、8万6059台だった。
今年発売予定のバッテリーEVの新型マカンは、低調な中国での牽引役になると期待されている。
ポルシェのオリバー・ブルーメCEOは「世界的な経済情勢を考えると、強い逆風が予想される」としながらも、「当社の新車ラインナップが、今後も利益率をさらに高めてくれると確信している」と述べた。
ポルシェによると、現在は財政的な「V字カーブ」の底にあるという。新型車に多大な投資を行っているが、まだすべての量産化には至っていない。
新型マカンの発売は、ソフトウェア開発の遅れから1年ほど延期されている。もし当初の計画どおりに発売されていたら、2024年の見通しはもっと明るかったのだろうか?
ルッツ・メシュケ最高財務責任者(CFO)は弊誌の取材に対し、「仮にマカン発売が早かったとしても、収益面を見る限り、大きなメリットやアドバンテージは得られなかったと思う」と述べた。
ブルーメCEOも同意見で、「(VWグループのソフトウェア子会社の)カリアドを設立した際、事業拡大にいくつか問題があった。すべてを一元化するという決断は正しかったと思う」とした。
また、ブルーメCEOはメルセデス・ベンツの技術部門出身のサジャド・カーン氏をポルシェの新しいCar-IT部門の責任者に任命したことについて言及している。VWグループの新しいソフトウェア開発に関して、カーン氏が「ポルシェの要件をサポートし、推進する立場になる」という。
「今後数年間は安定化すると考えている。逆風から身を隠しているわけではなく、厳しい年になるだろうが、我々はこの強固な基盤の上で行動していく」