栄光の「バス」が電動で復活! フォルクスワーゲンID.バズ 長期テスト(1) 古いファンも惹き付ける?

公開 : 2024.03.24 09:45

タイプIIをそのままモダナイズしたわけじゃない

ID.バズは、リアに空冷フラット4を積んでいた、タイプIIをそのままモダナイズしたスタイリングを持つわけではない。鮮やかなツートーン塗装と、むちっと膨らんだモノフォルムを除けば、オリジナルから直接的に引用されたデザイン要素は殆どない。

それでいて、細部へのコダワリは強い。車内のドアハンドル部分には、丸い笑顔のモチーフがあしらわれている。かつてエアインテークが開けられていたリアピラーは、3本のトリムで飾られている。

フォルクスワーゲンID.バズ SWB 77kWh プロ・スタイル(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.バズ SWB 77kWh プロ・スタイル(英国仕様)

レトロなデザインに、抵抗がある人もいるだろう。ちょっと気取り過ぎかもしれない。だが、わたしは好きだ。近年のクルマは、少しシリアスすぎる。明るさや楽しさを重視したID.バズと、一緒に過ごす時間は素晴らしいに違いない。

既にこれまで、長年のフォルクスワーゲン・ファン数名からも、好意的な反応を受けた。これは簡単なことではないだろう。長期テストの良い始まりだといえる。

まだ気は早いが、電動クロスオーバーに代わる訴求力を持つモデルとして、長期テストを締めくくることができるように感じている。見た目だけでなく、中身も重視されているはずだから。古いタイプ1のように、ヒーターの心配をする必要もない。

沢山の荷物も運べる、利便性の高い5シーター

5シーターのバッテリーEVとして、利便性の高さは確認した。リアシートはフラットにたたむことができ、荷室のフロア下にも大きな収納空間が用意されている。必要なら、沢山の荷物を運ぶバンとしても使える。

ID.バズ SWBの英国価格は、6万2844ポンド(約1187万円)から。筆者は近々引っ越しを予定している。犬の散歩や、通勤にも使う。長めの自動車旅行にも出かけるつもり。実用的で愛すべきバッテリーEVだと、最後に明言できるだろうか。

フォルクスワーゲンID.バズ SWB 77kWh プロ・スタイル(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.バズ SWB 77kWh プロ・スタイル(英国仕様)

セカンドオピニオ

ID.バズ SWBは、5シーター。遥かに小さいハッチバックと、定員の数は変わらない。それでも、それ以外はとても素晴らしいと感じた。

見た目だけでなく、走りも好印象。自分はT6世代のフォルクスワーゲン・カリフォルニアを所有していた経験があるから、疑いなくいえる。航続距離を除いて、すべての点でID.バズの方が優れていると感じたほど。 スティーブ・クロプリー(Steve Cropley)

フォルクスワーゲンID.バズ SWB 77kWh プロ・スタイル(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.バズ SWB 77kWh プロ・スタイル(英国仕様)

テストデータ

価格

モデル名:フォルクスワーゲンID.バズ SWB 77kWh プロ・スタイル(英国仕様)
新車価格:6万2844ポンド(約1187万円)
テスト車の価格:6万6394ポンド(約1255万円)

オプション装備

キャンディー・ホワイト+エナジェティック・オレンジ塗装:1800ポンド(約34万円)
インフォテインメント・パッケージプラス:1560ポンド(約29万5000円)
タイプ2充電ケーブル:190ポンド(約3万6000円)

テストの記録

電費:4.6km/kWh(WLTP値)
航続距離:410km(WLTP値)
故障:なし
出費:なし

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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