【追悼】マルチェロ・ガンディーニの遺した名車を振り返る 50選 後編 伝説の自動車デザイナー、逝く

公開 : 2024.03.16 18:25

ランチア・シビロ(1978年)

2018年のジュネーブ国際モーターショーにシビロが出展されたことを覚えている人もいるのではないだろうか。ちょうど40年前に初公開されたときは、大きな驚きをもって迎えられた。

ランチア・ストラトスをベースにウェッジシェイプを突き詰め、同車の2.4L V6を流用。ポップアップ式のヘッドライトとデジタル・ダッシュボードが装備されている。

ランチア・シビロ(1978年)
ランチア・シビロ(1978年)

ボルボ・ツンドラ(1979年)

1976年に発表された300シリーズは、ボルボらしい保守的な乗用車であり、スポーティな要素はまるでなかった。

ベルトーネは、343を手直ししたツンドラでボルボへの接近を試みた。エンジンは1.4Lで、4速MTを介して後輪を駆動する2ドア・クーペである。このモダンなデザインは当時のボルボの重役には響かなかったが、数年後にシトロエンBXとして市販車に昇華することになる。

ボルボ・ツンドラ(1979年)
ボルボ・ツンドラ(1979年)

ルノー5ターボ(1980年)

ルノー5は素晴らしいデザインだが、1980年頃には見慣れたものになりつつあった。そこで、ミドシップエンジンを搭載し、ボディをパンプアップした5ターボが製作された。ガンディーニ氏は、標準車とできるだけ部品を共有しないことを求められ、パワートレインや足回りとともに、ほとんどすべてのボディパネルを変更した。

5ターボは当初、標準車の販売を活性化させるためのショーカーであったが、1983年までに1690台が生産され、続くターボ2も1986年まで3176台が生産されている。

ルノー5ターボ(1980年)
ルノー5ターボ(1980年)

マツダ・ルーチェ(1981年)

第4世代のマツダ・ルーチェ(海外名:929)は、ガンディーニ氏が独立前の1980年に担当した、ベルトーネ時代最後の作品である。2種類の4ドア・セダン(通常版とスポーティ版)と2ドア・クーペを設計するという内容だった。

デザインは十分に素晴らしいものだが、メカニカルな部分も興味深い。従来のレシプロエンジンに加え、ロータリーエンジンも用意されていたのだ。

マツダ・ルーチェ(1981年)
マツダ・ルーチェ(1981年)

シトロエンBX(1982年)

何年もの間、ガンディーニ氏は角ばったコンセプトカーをデザインしてきたが、その多くが量産化には至らなかった。保守的な自動車メーカーにとっては先鋭的すぎたが、シトロエンは違った。直線デザインを全面的に受け入れたのだ。

GSAの後を継ぐべく誕生したBXには、ハッチバックとステーションワゴンの2タイプがあり、どちらも5ドアである。このクルマに求められたのは、軽量であること(ベースモデルで900kg)と高い信頼性であり、後者は「loves driving, hates garages(ドライブを愛し、ガレージを憎む)」という宣伝文句につながった。

シトロエンBX(1982年)
シトロエンBX(1982年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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