ジャガー、電動パワステに不具合か 英国で報告多数 オーナーから不満噴出

公開 : 2024.03.18 06:25

英国でジャガーFペイスなどのオーナーから「電動パワーステアリングの不具合」に関する報告が相次いでいる。英国内では部品供給網に遅延が生じ、修理が進まない現状もある。

英JLR、部品供給に遅れ SNSで顧客の不満噴出

ジャガーFペイスなどに搭載された電動パワーステアリング・モーターに関して、英国で不具合の報告が相次いでいる。しかし、長引く部品供給網の混乱により、顧客の修理対応が思うように進んでいない。

昨年10月、JLR(ジャガー・ランドローバー)が英国に新設した物流ハブ「マーシア・パーク」で遅延が生じ、ランドローバー含め、英国内では約1万台の点検・修理が滞っていると報じられた。

JLR(ジャガー・ランドローバー)は現在、物流ハブでの問題は解消しつつあると述べている。
JLR(ジャガー・ランドローバー)は現在、物流ハブでの問題は解消しつつあると述べている。

JLRのエイドリアン・マーデルCEOは1月、未処理の部品が2000個以下にまで減少したと発表。翌月には問題が解決されているとの見方を示したが、依然としてディーラーでの修理には時間がかかるという。

「もう少し時間がかかりそうですが、当初のボトルネックはほとんど解消されています。まだ理想とする状態ではありませんが、ほぼクリアしています」

しかし、顧客はまだまだ部品の遅れに直面している。

弊誌は、電動パワーステアリングの件で顧客同士で情報交換をするFacebookグループ『JLRパワーステアリング・アライアンス・グループ(JLR Power Steering Alliance Group)』のメンバーの1人に話を聞いた。

電動パワーステアリング・モーターに不具合?

同グループには、本稿執筆時点で600人以上のメンバーがいる。そのうちの130人は2016年から2020年の間に登録されたFペイスを所有し、電動ステアリング・モーターに水が浸入して走行不能になっていると主張している。

英国在住のエイドリアン・ウッドワードさんは、自身の所有するFペイスで雨の中を走行した後、ステアリングの故障に見舞われた。

ジャガーFペイスなど一部車種の英国オーナーから、不具合を懸念する声が上がっている。
ジャガーFペイスなど一部車種の英国オーナーから、不具合を懸念する声が上がっている。

「他のオーナーと同じように、わたしも洪水の中を走ったわけではありません。最近大雨が降り、濡れた道路を走った時にモーターに水が入ったのだと思います。モーターにヘアライン状の亀裂が入り、ユニット内部の電気回路基板が腐食で白くなりました。同じ問題に苦しんでいる他のクルマをみたことがあります」

「交換用モーターには、新しいステアリング・ラックが付属します。Facebookグループのメンバーの1人は3回目です。当初、保険会社が代金を支払ってくれましたが、あまりに請求が多かったため支払われなくなり、オーナーはJLRの善意に頼らざるを得なくなったのです」

ディーラーでの故障診断には216ポンド(約4万円)がかかるという。しかし、ウッドワードさんのFペイスを検査できるのは最短でも5週間後だという。もしモーターに欠陥が見つかった場合、新しいステアリング・ラックがいつ納品されるかはディーラーからは教えてもらえない。

「JLRは最近故障した何百ものステアリング・ラックのデータを持っているはずなのに、ディーラーで故障診断のために5週間も待たされるのは非常にもどかしい。交換用ラックもいつ入手できるかわからないと言われています」

「交換用ラックの需要がJLRの部品供給問題を悪化させているのではないでしょうか? 幸いなことに、ディーラーでモーターの故障と診断された場合、交換部品を待つ間、代車を用意してくれると聞いています」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事