【どうなる日本の自動車業界】 日産とホンダ今後は二人三脚? 覚書締結並びに協業体制模索へ

公開 : 2024.03.16 07:05

SDV対策とは?

まず、自動車車載ソフトウェアプラットフォームだが、近年はSDV(ソフトウェア・デファインド・ヴィークル)という表現が自動車業界でよく聞かれる。

メルセデス・ベンツが言う「CASE」で見れば、C:コネクテッド/A:自動運転/S:シェアードなどのサービス事業を組み合わせたような考え方が、SDVである。

日産とホンダの連携協議へ
日産ホンダの連携協議へ

車載のソフトウェアを通信を使って更新する、オン・ザ・エア(OTA)や、自動技術でもインフラは他車とのデータ協調が必要だ。

また、サービス事業については、クルマの走行状態やユーザーがスマートフォンをクルマと連携させた際の各種データなども、SDVの技術に含まれる。

こうしたSDVを総括的に管理・運用する仕組みを、プラットフォームと呼ぶことがある。ここで重要なのが「スケールメリット」だと、両社長は会見で指摘した。

これまでも、例えば高級車の場合、100を超える小型演算装置を搭載してきたが、従来の考え方が今後、大きく変わる可能性がある。開発から量産までのスピードも極めて早い。

こうしたクルマの知能化という分野で、初期投資は極めて大きいため、メーカー個社ではなく復数メーカーで共有するメリットは大きいのだ。

いまこそ、BEV対策

もうひとつの、バッテリーEVのコアコンポーネントとは、電池/モーター/インバーターなどを指す。この分野はスケールメリットが大きく効くのは当然のこと。

日産もホンダもこれまで、バッテリーEV、またハイブリッド車やプラグインハイブリッド車の開発を独自に進めてきた。だが近年、特に中国サプライヤーの量産効果が急激に進み、テスラや中国EVベンチャーの価格競争力が上がってきているところだ。

日産とホンダの連携協議へ
日産とホンダの連携協議へ

特に中国で、日産もホンダも自社EVの価格競争力に対する危機感が高まっていたところであり、2社の思惑が重なったと言えるだろう。

両社長は「まったなしの状況」とか「2030年を意識すると、いまこそ大きく動くタイミング」といった表現で、バッテリーEVでの協業の必要性を強調した。

欧米では今、バッテリーEV普及については、国や地域の政策変更や、グローバルでの環境などを意識した投資バブルの弱まりなどから「踊り場」に入ったとも言われる。

そうした時期だからこそ、日産とホンダとしてはなおさら、将来のバッテリーEV普及に向けた地盤固めをしたいという思いもあろう。

いずれにしても、両社は今後、将来に向けた様々な可能性について、各種ワーキンググループを立ち上げて本格的な議論を始める。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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