【独自】ビッグモーター伊藤忠の新会社「ジェイ・ケイ・エイチ」は何のため? 1月に登記完了、真相を追う
公開 : 2024.03.16 06:25
同じ住所に156の法人名が登記されていた!
このジェイ・ケイ・エイチという会社がビッグモーター社の新会社と関わりがあるのは間違いなさそうだが、気になるのは代表取締役として登録されている人物である。
この人物の名前と登記された法人の住所で検索すると多数の会社名が出てくる。そこにビッグモーターや伊藤忠との関連は全くなさそうである。
ジェイ・ケイ・エイチとは何をする会社なのだろうか? 取材を進めていくうちに、ジェイ・ケイ・エイチが登記されている住所にはなんと168もの法人が登記されていることが分かった。一例をあげてみよう。
合同会社ジェイ・ヴイ・エム/合同会社ジェイ・ヴイ・オー/一般社団法人ジェイ・エイチ・ディー/合同会社ジェイ・アイ・エフ/合同会社ジェイ・アイ・ジー/株式会社出水リアルティ/合同会社ジェイ・イー・ティー/合同会社ジェイ・エックス・ジェイ…
ここで登記されている法人名の9割以上が「ジェイ」をつけている。
事情通によるとこの「ジェイ」とは、伊藤忠と共にビッグモーターを買収する企業再生ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)の「ジェイ」なのだそう。
JWPが再生を手掛ける会社、清算に関わってきた会社の社名の最初にはほとんど「ジェイ」がつけられている。つまり、ビッグモーター絡みの新会社ジェイ・ケイ・エイチは企業再生と清算のための会社で「伊藤忠とJWPが出資するための箱会社」ということらしい。
箱会社であるがゆえ、実際、上記168の会社の多くは設立から数年で役目を終えて登記記録が閉鎖されている。
新社名はいつ発表? 新会社の人事はどうなる?
メディアを含め多くが注目するのは、伊藤忠傘下となった新生ビッグモーターの新社名だ。
関係者に聞くと、3月12日の時点では「未定」とのことであった。また現役社員からは「社内では3月18日頃に決まるのでは」、業界紙記者からは「3月18~19日には到底無理では?」という声もあがっている。
なお、新会社になっても、基本的には現在の店舗や工場はそのままで、社員の処遇もほとんどが現状の部署や役職などが承継されるとされる。もちろん、スポンサーの意向のもとに収益性を考慮して店舗の統合や人事異動は行われるだろう。
また、伊藤忠は支援の条件に「創業家との断絶」を第一に挙げている。新会社が事業を受け継ぎ、創業家の影響力を排除することから、現在の経営陣においても兼重親子との関係が深かった幹部や店長が退職を促されることもありそうだ。
事情に詳しいビッグモーター元幹部は筆者に以下のように話した。
「ヤバいことをしていた社員がどんどん逃げ出しています。1月の終わりに街路樹伐採の件で環境整備推進委員のK氏が逮捕されてその部下の店長が複数逮捕され、さらには労働基準法違反や下請法違反でも処分者が続々と出てくる状況の中で『次は自分か』とおびえている人も多いです。
関わってきた社員は逃げる(退職)べきかとどまるべきかで悩んでいるようですよ。でも会社を辞めたからといってそれらの罪から逃れることはできませんけどね」
AUTOCAR JAPANでは引き続き、独自取材を中心にビッグモーターに関する情報をお伝えしていく。