「ボルボEX30」 完全なEVメーカー化への布石 同社EV史上最も少ないカーボンフットプリント実現
公開 : 2024.03.19 11:45
ボルボはEVのEX30が、内燃エンジン搭載のXC40よりカーボンフットプリントが約60%少ないことが明らかとなったと発表しました。原材料の採掘・精製からクルマの廃車までのライフサイクルを対象に読み解きます。
ボルボEX30、ボルボのEV史上最も少ないカーボンフットプリント
ボルボEX30は、ボルボのEV史上最も少ないカーボンフットプリントを実現したと発表した。
ボルボEX30のライフサイクルアセスメント(LCA)によると、20万km走行あたりのカーボンフットプリントは23トンで、XC40 ICE(内燃エンジン搭載車両)よりも約60%少ないことが明らかとなったという。
カーボンフットプリント・レポートでは、自動車の排出量の主な要因となる材料と工程を特定する。温室効果ガス(GHG)排出量に特化したこのレポートは、原材料の採掘・精製から車の廃車までの自動車のライフサイクルを対象としている。
EX30の充電に風力ベースの電力を使用することで、世界や欧州の電力ミックスと比較して、カーボンフットプリントをそれぞれ約42%、約22%と大幅に削減が可能だと述べた。
同時にこれは、EVが気候変動に対するポテンシャルを最大限に発揮するために、世界的に再生可能エネルギー・インフラへの投資を加速させる必要があることを示唆しているとも付け加えた。
ボルボ、完全なEVメーカーになるという目標
ボルボ気候変動対策責任者 ヨナス・オッテルハイム
「EVへの移行は気候変動を抑制する鍵です。EVの排出量のさらなる削減のためには、その課題について透明性の向上が求められます。EX30のカーボンフットプリントを調査し、その主要因となる材料とプロセスを特定することで、私たちはよりサステナブルな社会の実現に向けた社内の、そして業界内での意思決定を助ける貴重な洞察を提供することを目指しています」と述べた。
2019年以降に発売したEVのXC40リチャージ/C40リチャージ、そして今回のEX30の3車種について、カーボンフットプリントの包括的なLCAを完了し、これらのレポートを一般に公開することで、顧客が次のEVを選択する際に、十分な情報に基づいた意思決定を行う一助となることを願っているとボルボは付け加えた。
温室効果ガス排出量ネットゼロに向かうための重要な一歩
自動車は運転されるだけではなく、設計され、開発され、生産され、輸送されます。その一連の過程において、温室効果ガス排出量を削減し、サステナビリティ目標の達成に向けて改善するための多くのチャンスがあるとしている。
EX30によって、ボルボは2030年までに完全なEVメーカーになるという目標、そして2040年までに温室効果ガス排出量をネットゼロにするという目標に向けて重要な更なる一歩を踏み出していると強調する。
EX30に使用されているリサイクル素材の割合は、これまでのボルボ車の中で最も高くなっており、アルミニウムの約4分の1、スチールの約5分の1がリサイクル素材で、さらに、インテリア部品からエクステリアバンパーに至るまで、車内の全プラスチックの約17%がリサイクル素材で作られた。
ボルボのサプライチェーンと製造における取り組みにより、LFPバッテリーを搭載したEX30の「クレイドル・トゥー・ゲイト」のカーボンフットプリントは推定14.8トンで、EX30のカーボンフットプリント全体の60%強に相当し、この排出量には、材料や車両の生産時に発生する排出量は含まれるが、EX30の使用時と廃車の段階での排出量は含まれない。
私たちは、バリューチェーン全体のサプライヤーと協力することで、EX30のCO2の影響をさらに削減する予定であり、例えばバッテリーサプライヤーは、2025年までにLFPバッテリーの製造による排出量を20%、NMCバッテリーの場合は46%削減することに取り組んでいると語る。
そのために、サプライヤーはセル製造時に使用する電力を再生可能エネルギーに置き換え、材料に含まれるリサイクル素材の割合を増やし、サプライチェーンの排出量を削減することを目指していると発表した。