BMW M3/M4

公開 : 2014.07.26 19:10  更新 : 2017.05.29 17:59

ドイツ人は数字列の整然性について、ほとんど偏執狂的なこだわりを見せる。第一次大戦のとき、彼らは軍用機に製造順や製造工場を示す番号を振った。そして英国軍は鹵獲したドイツ機の番号から敵の生産体制を割り出し、戦局を優位に進めた。

こういう偏執性は、自動車の世界においても見られた。BMWのモデルコードだ。彼らの市販モデルにはアルファベットと2桁もしくは3桁の数字を組み合わせたコード名がつけられている。戦後にライセンスを買って生産したイセッタにE100と振ったのを皮切りに、躍進のきっかけとなったノイエクラッセをE115とし、1960年代に入るといったん数字を1桁に戻し、それが2002で2桁のE10になると、以降はその数字を増やして20世紀を過ごす。そして21世紀に入って数字を使い切ると、EをFに更新して現行7シリーズのF01から再出発をした。ちなみに20世紀は同じシリーズの車体バリエーションはひとつのコードだったが、今は別のコードを振っている。例えば3シリーズのセダンはF30だが、ワゴンはF31、グランツーリスモはF34となる。

ところが最近、事が少しややこしくなってきた。2ドアモデルの商品名が4ドアモデルから独立したのだ。3シリーズの場合、そう呼ばれるのは4/5ドアだけで、2ドアは4シリーズとなる。しかしコードは3シリーズの派生を示すF32である。これだけでも混乱気味なのに、もっと理解不能の事態が発生した。M3とM4だ。まず、セダンとクーペで別の商品名になったことが違和感だ。これまで、E46時代まではM3は2ドアであり、それがモデルの基軸だった。なのに今度は2ドアはM4とされた。M3という名称で歴代のそれを愛したファンは困惑している。また、これまでならM GmbH仕立てであっても、車体種別を優先して基準車と同じコードが振られていた。例えば先代M3セダンは320iセダンと同じE90だった。しかし今度のM3は何故かF80、M4はF82なのである。BMWは数字の整然に執着するドイツ人の心を棄ててしまったのだろうか。

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