ヤリスの長所も短所も「そのまま」 マツダ2 ハイブリッドへ英国試乗 2024年は5角形グリルに

公開 : 2024.03.30 19:05

追い越しも余裕な高効率のパワートレイン

最上グレードのホムラ・プラスでは、12.3インチのメーター用モニターに、10.5インチのセンター・タッチモニターへアップグレード。ヘッドアップ・ディスプレイと、開放的なパノラミック・ガラスルーフも追加される。

インフォテインメント・システムもトヨタ製。タッチ3と呼ばれるものだ。

マツダ2 ハイブリッド1.5 ホムラ(英国仕様)
マツダ2 ハイブリッド1.5 ホムラ(英国仕様)

下位グレードでも、アップル・カープレイとアンドロイド・オートに対応。実際のところ、スマートフォン・アプリの方がナビは勝手が良い。運転支援システムも、道路標識認識機能や衝突被害軽減ブレーキなど、充分網羅する。

2 ハイブリッドの肝となるパワートレインは、可能な限りエンジンを止め、電気モーターで走行するよう調整されている。今回の試乗では、全体の走行時間の35%を電気だけで走れた。特に市街地では割合が高くなるようだ。

115psといえども充分活発で、ある程度計画的に操れば、追い越しも余裕。燃費は23.8-26.3km/Lと優秀で、メーカー平均でのCO2排出量を抑えるのに貢献するはず。もちろん、ユーザーもランニングコストを抑えられる。

他方、3気筒エンジンが高負荷時に大きめのノイズを放ち、ザラザラとした質感を伝える点もヤリスと共通。e-CVTも、頑張っている様子を隠さない。

都市部をリラックして運転するような環境が、2 ハイブリッドの得意分野。電気モーターが快活なダッシュを叶え、走行時も静かだ。

ドライブモードは3種類あるが、変化度は小さい。EVモードでは、充電量が不足するまでエンジンを回さず移動できる。

意外に運転を楽しめる ご本家が存在感を薄める

操縦性は、クラストップといえる本来の2には及ばない。それでも、荒れた路面でも強い衝撃は伝わらず、乗り心地は悪くない。短いホイールベースにも関わらず、落ち着きや安定感にも優れる。

軽めの車重を活かし、回頭性は鋭い。ステアリングホイールは軽すぎるかもしれないが、反応はニュートラル。直感的に進路を決めていける。積極的にカーブへ侵入しても不安感は小さく、意外に運転を楽しめる。

マツダ2 ハイブリッド1.5 ホムラ(英国仕様)
マツダ2 ハイブリッド1.5 ホムラ(英国仕様)

オリジナルの2ほどシャシーは優秀ではないが、ドライバーがモヤモヤすることもない。経済的なシティ・コンパクトとして、完成度は高いといえる。

2 ハイブリッドの英国価格は、2万4130ポンド(約456万円)から。ホムラ・プラスの場合、2万9230ポンド(約552万円)へ上昇する。ヤリスは、2万2630ポンド(約428万円)から選べるのだが。

また、トヨタは最長10年間か16万kmの保証を提供している。マツダは、3年間か9万6500kmと、見劣りする内容だ。優れた経済性で充分な訴求力を持つものの、ご本家が存在感を薄めることは事実だろう。

トヨタ感は消えないものの、ストロングポイントをしっかり受け継いだ2 ハイブリッド。高効率で実用的で、好感の持てるハッチバックであることは間違いない。動的な能力は低くなく、運転の楽しさも備わる。

Mのエンブレムにこだわるマツダ・ファンなら、検討に値する1台だといえる。

◯:高効率なパワートレインと優れたランニングコスト シャープな操縦性で運転を意外に楽しめる トヨタの技術力とマツダのデザインがバランス良く融合
△:より運転の楽しいライバルはある 同等のヤリスの方が基本的に安い

マツダ2 ハイブリッド1.5 ホムラ(英国仕様)のスペック

英国価格:2万7070ポンド(約512万円/試乗車)
全長:3940mm
全幅:1745mm
全高:1500mm
最高速度:175km/h
0-100km/h加速:9.7秒
燃費:23.8-26.3km/L
CO2排出量:87-98g/km
車両重量:−kg
パワートレイン:直列3気筒1490cc 自然吸気+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:115ps(システム総合)
最大トルク:12.1kg-m/3600-4800rpm(システム総合)
ギアボックス:e-CVT(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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