おかえり「V8エンジン」! でも最後? ポルシェ・カイエン Sを深掘り(1) 末永く所有したい

公開 : 2024.03.30 09:45

V8へ回帰したポルシェのSUV、カイエン「S」 内燃エンジンを積んだ最後の世代? 上級サルーンのように快適 繊細に届くフィードバック その実力を2日間で検証

1日目 7:00/ロンドン 「S」の実力を探る2日間

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シャワーを浴びて、着替えて最新のSUVに乗る。ロンドンの北を環状に結ぶ、国道A406号線は例によって渋滞中。天気は、どんよりした曇り。これも、この季節としては普段通りだ。

ポルシェ・カイエン S(英国仕様)
ポルシェカイエン S(英国仕様)

しかし、今朝の目的地はロンドン西部のAUTOCAR編集部ではない。ポルシェ・カイエン Sは、ゆっくりと北上中。本日の業務は、グレートブリテン島北東部に位置する、キールダーと呼ばれる森林地帯を目指し、この実力を探ることだ。

大型SUVのカイエンは、ポルシェの救世主として20年以上も高く評価されてきた。一方でその開発理由は、走りを純粋に磨いたモデルを提供し続けるためだと、ブランドマニアは受け止めているだろう。

既にAUTOCARでは、大幅なマイナーチェンジを受けたカイエン Sを入念にテストしている。運転を楽しめ、末永く所有したいと思えるSUVだと結論付けた。

詳細データテストは、かなり多角的な内容で実施している。しかし本当に長い間、好印象を抱き続けられるかどうかは、もう少しステアリングホイールを握ってみなければわからない。できれば2日間、どっぷり浸かりたい。

そこで筆者は、スコットランド方面へ足を伸ばす、長距離ドライブを敢行することにした。生活を潤す実用性と、運転の楽しさを兼ね備えたSUVだと、確証を得るために。メカニズムの本領を、しっかり引き出せる環境で。

内燃エンジンを積んだ最後のカイエン?

ポルシェの主張では、今回のアップデートは、同社の90年以上の歴史で最も大規模な内容の1つだという。新しいバンパーやフロントガラス、サスペンション、高効率と高出力化を叶えたエンジンなどを獲得し、モデルチェンジへ近いと筆者も考えている。

そこまで力が込められた理由は、2026年に登場予定の新しいバッテリーEV、カイエン・エレクトリックまで新鮮さを保つ必要があるから。それと交代するように、この世代は役目を終えるはずだ。

ポルシェ・カイエン Sと筆者、マレー・スカリオン
ポルシェ・カイエン Sと筆者、マレー・スカリオン

まだ気は早いが、これがエンジンを積んだ最後のカイエンになる可能性は高い。ブランド好調の立役者を掘り下げるのに、今のタイミングは悪くはないだろう。

歴代のカイエンへ試乗してきた筆者だが、今回のアップデートで1番注目している仕様が「S」。控えめにアルファベット1文字が追加されただけだが、V8エンジンがボンネット内に帰ってきた。

パナメーラランボルギーニウルスの動力源にもなってきた、4.0Lのツインターボだ。初代のカイエン SにはV8エンジンが載っていたが、2代目に入り、途中でV6ツインターボへ置き換わっていた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ポルシェ・カイエン Sを深掘りの前後関係

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