スバル・クロストレック 詳細データテスト 手頃なサイズに優れた悪路走破性 パワー不足は否めない
公開 : 2024.03.23 20:25 更新 : 2024.03.29 19:22
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
XVと呼ばれた世代も含めて3世代目となる現行クロストレックは、6代目インプレッサの派生モデルで、2022年末に発表された。ベースはインプレッサと同じくスバル・グローバル・プラットフォーム(SGP)で、ねじり剛性を10%高めたアップデート版。オールスティールのままだが、多少の軽量化も果たしている。
4.5mをわずかに切る全長は、現在のCセグメントハッチバックとしては短いが、1600mmという全高は一般的なハッチバックを200mmほど上回る。これはルーフレール込みというだけでなく、長いコイルスプリングを備えて220mmの地上高をもたらすサスペンションも一因だ。この路面とのクリアランスは、下手な中大型SUVすら上回る。無論、エアサスで車高アップできるものは別だが。
英国を含む欧州仕様は、e−ボクサーと銘打ったマイルドハイブリッドのみの設定。2.0L自然吸気の水平対向4気筒ガソリンに、16ps/6.8kg-mのモーターと、0.57kWhのリチウムイオンバッテリーという控えめなアシストを加えたパワートレインだ。
スバルがこのハイブリッドに求めたのは、軽くてスペース効率に優れること、そして、オンロードでもオフロードでも素早くエネルギー回復ができること。その代わり、ドライバーがEV走行モードを選択することはできない。
4WDシステムの前後駆動力配分は60:40が基本で、必要に応じて自動調整。リアへ50%以上分配することもできる。これにマッド&スノータイヤを組み合わせ、このサイズと価格帯では稀な悪路走破性を実現している。
136ps/18.5kg-mというスペックは、先代にあたるXVのe-ボクサーを下回るが、リニアトロニックことCVTの入念なチューニングにより、データ上は見劣りしないスペックを発揮することになっている。とはいえ、競合車に比べてアンダーパワー気味なのは、先代から変わっていない。
いっぽうで、細部には進歩も見られる。たとえばリアワイパーは、拭き取り範囲を45mm拡大。フロントには、ADAS用カメラの性能を確保するため、第3のウォッシャーノズルが設置された。