スバル・クロストレック 詳細データテスト 手頃なサイズに優れた悪路走破性 パワー不足は否めない
公開 : 2024.03.23 20:25 更新 : 2024.03.29 19:22
走り ★★★★★★☆☆☆☆
加速性能の公称値は0−100km/h=10.8秒、実測値は0-97km/h=10.4秒。いずれにしても、エネルギッシュなパフォーマンスを感じさせるものではない。3万5000ポンド(約665万円)級のハッチバックの水準より2〜3割遅いのはともかく、それ以外にも遅く感じることがあるのはトランスミッションの機能の仕方による。オフロード走行が多いなら、それも許せるだろうが。
CVTには、オンロードでの洗練性やドライバーが感じる一体感、全般的なドライバビリティに関して、主観的には改善を期待したいところもあるが、オフロードでの機能面は上々だ。
データを見れば、ミラクルが起きるようなメカニズムでないことは明らかだ。元気に走らせようとすると、このクロストレックはややアンダーパワー気味に感じる。とくに、トランスミッションのマニュアルモードを使うとそうだ。中間ギア比の低めなほうはあまりないくらい高めの設定で、駆動系はそこそこ太い中回転域トルクを受け止めつつも、それほど速さを発揮してはくれない。
マニュアルモードの3速で計測した80−113km/h加速は8.4秒で、4.3秒だったゴルフ1.5eTSIの倍近いが、固定ギア比での加速というのは、このトランスミッションの想定する使い方ではないことを勘案するべきだ。Dレンジでは、1〜2速相当のギア比でやや回転が高くなりすぎるものの、3速相当程度から上なら80km/h以上で普通に走らせていれば、性能テストから予想するほど遅いということはない。
日常的な2点間移動であれば、クロストレックの走りはなかなかのものだ。ただし、かつてのスバルのボクサー4ほど速さやスポーティさで勝負するわけではなく、個性が強いわけでもない。経済性も特筆するほどではない。ハイブリッドの恩恵はさほど大きくはない。
電動機械式のブレーキサーボはちょっとクセがあり、クルマが冷えているとペダル操作に対して効きすぎる。しかし、温まってくると改善し、履いているタイヤのわりにはなかなかの制動距離を実現する。