実質的なフラッグシップへ ホンダ「孤高」のサルーン上陸 11代目アコードを試す

公開 : 2024.03.23 11:05

強化された安全装備で旗艦としての実力十分

ホンダセンシング360は国内で展開しているホンダセンシングとはハードウェアから異なる。

前方監視用に加えて車体四隅を監視するレーダーも採用。カメラ/レーダー/ソナーを用いて車体全周の監視機能を強化。検知機能を強化するとともに、前方交差車両警報や車線変更時衝突抑制機能、車線変更支援機能(ACC/LKA作動時)などが追加されている。

ホンダ 新型アコード
ホンダ 新型アコード

さらに2025年には高速道路でのハンズオフ走行などの自動運転技術を搭載したホンダセンシング360+の追加も予定。安全&運転支援機能においてもアコードは市販ホンダ車の頂点モデルという訳だ。

安全はストレスフリーの大前提のひとつ。前項で述べた動力性能やドライブフィールの特性、電子制御サスとMMSがもたらしたハンドリングと乗り心地からも酌み取れると思うが、ドライバーも含めた乗る人すべてに対してストレスフリーを狙っている。

言い方を換えるなら走りの理想論も含めたセオリーに徹底したモデルであり、クルマと過ごす良質な時間にこだわっているように思えた。裏返せば乗りこなす楽しみとかマニア好みの癖や誇張はなく、薄味と言えないこともないが、セダンのよさを再認識できる良質が何より。

従来のアコードのイメージでは約550万円の値付けは高くも思えたが、乗ってみればホンダの新たなフラッグシップに相応な内容を備えていた。レジェンドの後継モデルとして納得できる実力と価格設定である。

試乗車のスペック

価格:544万9400円(税込 オプションなし)
全長×全幅×全高:4975×1860×1450mm
燃料消費率:23.8km/L(WLTC)
駆動方式:FF
車両重量:1580kg
パワートレイン:直列4気筒1993cc+モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:147ps/6100rpm
最大トルク:18.6kg-m/4500rpm
ギアボックス:電気式無段変速機

ホンダ 新型アコード
ホンダ 新型アコード

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。
  • 編集

    香野早汰

    Hayata Kono

    1997年東京生まれ。母が仕事の往復で運転するクルマの助手席で幼少期のほとんどを過ごす。クルマ選びの決め手は速さや音よりも造形と乗り心地。それゆえ同世代の理解者に恵まれないのが悩み。2023年、クルマにまつわる仕事を探すも見つからず。思いもしない偶然が重なりAUTOCAR編集部に出会う。翌日に笹本編集長の面接。「明日から来なさい」「え!」。若さと積極性を武器に、日々勉強中。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事