「330i」を思い出すスムーズ加速 BMW iX1 eドライブ20へ試乗 割高感は否めない

公開 : 2024.04.11 19:05

淡白で特徴が薄い操縦性 積極的なオススメは・・

試乗車はMスポーツで、19インチ・アルミホイールに15mm短いスプリングが組まれていたが、減衰力が変化するアダプティブダンパーは標準。快適な移動を支えてくれる。なお、iX1ではダンパーの硬さを任意に選ぶことはできない。

ただし、操縦性はBMWらしくない。同じプラットフォームをベースにした、前輪駆動のミニ・カントリーマン(旧クロスオーバー)は、カーブが連続する区間を楽しめるチューニングなだけに、なんとも惜しい。iX1 eドライブ20は、少々淡白で特徴が薄い。

BMW iX1 eドライブ20 Mスポーツ(英国仕様)
BMW iX1 eドライブ20 Mスポーツ(英国仕様)

車内空間は、フロントシート側は特に不満なし。リアシート側は、大人には狭いだろう。ヒョンデアイオニック5が、リムジンのように思えてしまうほど。

インフォテインメント・システムは、タッチモニターへ表示されるアイコンやメニュー項目が多すぎて、筆者は迷いがちだった。覚えるまでは、意図した項目へ辿り着くのは簡単ではないかもしれない。

BMWの最も小さなバッテリーEV、iX1は、直感的に運転でき、日常的に乗りやすい電動SUVだと思う。しかし、このブランドのモデルとして積極的にオススメできるかと問われると、少し言葉を濁したくなるのが本音。

蛇足だが、カテゴリーは異なるが、フォルクスワーゲンID.7の英国価格は、iX1とほぼ同じ。長距離での快適性では比べ物にならないほど優れ、航続距離はより長い。

BMW iX1 eドライブ20 Mスポーツ(英国仕様)のスペック

英国価格:5万955ポンド(約963万円)
全長:4500mm
全幅:1845mm
全高:1616mm
最高速度:170km/h
0-100km/h加速:8.6秒
航続距離:429-417km
電費:5.7-6.4km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1940kg
パワートレイン:他励同期モーター
バッテリー:64.7kWh(実容量)
急速充電能力:130kW(DC)
最高出力:203ps
最大トルク:25.3kg-m
ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事