期待の1.2L マイルドHV登場! ジープ・アベンジャー e-ハイブリッドへ試乗 今のベストバランス

公開 : 2024.04.04 19:05

動力性能は高くない ステアリングはダイレクト

試乗したe-ハイブリッドの動力性能は、高いとはいえないだろう。0-100km/h加速10.9秒だから、信号ダッシュでリードすることは難しいはず。とはいえ、出だしは充分に力強く、5.5kg-mを加算するE-ブースト機能が備わる。

中回転域は、粘り強く扱いやすい。非ハイブリッド版と比較して、48-96km/hの中間加速は30%も鋭いとか。幹線道路などで、違いを体感できるはず。

ジープ・アベンジャー e-ハイブリッド・サミット(欧州仕様)
ジープアベンジャー e-ハイブリッド・サミット(欧州仕様)

アクセルペダルを踏み込むと、1.2Lエンジンが気張っている様子が伝わってくる。流石に、ほぼ無音といえる電気モーター版の静けさには遠く及ばない。6速ATは、望み通りに変速してくれない場面もあった。

e-ハイブリッドでは、電気だけで最大1kmを走れると主張される。その能力は、トヨタのフルハイブリッドに届かないが、市街地を流すような環境では恩恵にあやかれる。発進と停止を繰り返す区間で、上質なフィーリングを味わえる。

大きな駆動用バッテリーを積まないe-ハイブリッドの車重は、バッテリーEV仕様より315kgも軽量。ステアリングの反応はダイレクトで、カーブを軽快に縫っていくような印象がある。

鋭く旋回させると、大きめにボディロールが生じる。敏捷性では、フォード・プーマが勝るとはいえ、落ち着きがあり運動神経は低くない。

乗り心地は、フラットな形状のシートも影響し、荒れた路面ではやや揺れが目立つ。つぎはぎの多い市街地でも、細かな入力をサスペンションは吸収しきれない。高速道路では、ぐっと質感が良くなるのだが。

現在のベストバランス・アベンジャー

アベンジャー e-ハイブリッドの燃費は、カタログ値で20.4km/L。今回の平均値は、18.5km/Lという結果になった。

バッテリーEV仕様のアベンジャーは、少々お高めなことは事実。対して、e-ハイブリッドの英国価格は2万5965ポンド(約490万円)から。その差は、1万ポンド(約189万円)近くある。

ジープ・アベンジャー e-ハイブリッド・サミット(欧州仕様)
ジープ・アベンジャー e-ハイブリッド・サミット(欧州仕様)

試乗車のサミット・グレードは、2万9200ポンド(約552万円)。18インチ・ホイールにモニター式バックミラー、キーレスエントリー、バックカメラ、オートヘッドライト、半自律運転システム、パワーテールゲートなどが標準装備される。

今回は試乗できなかったが、非ハイブリッドのMT版は2万3600ポンド(約446万円)から。こちらも魅力的な設定といえる。

e-ハイブリッドは、現在のアベンジャーのベストバランスにある。マイルド・ハイブリッドは燃費に優れ、英国価格は低めに設定され、充電に数10分を費やす必要もない。

もっとも、ジープはプラグイン・ハイブリッドの4xeも計画中とのこと。こちらが、最も有能なアベンジャーになる可能性は高い。

◯:優れた燃費 現在のベストバランス・アベンジャー
△:運転の楽しさはほどほど 実用性が秀でるわけではない

ジープ・アベンジャー e-ハイブリッド・サミット(欧州仕様)のスペック

英国価格:2万9200ポンド(約552万円)
全長:4084mm
全幅:1776mm
全高:1528mm
最高速度:183km/h
0-100km/h加速:10.9秒
燃費:2.04km/L
CO2排出量:111g/km
車両重量:1280kg
パワートレイン:直列3気筒1199cc ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:128ps(システム総合)
最大トルク:20.8kg-m(システム総合)
ギアボックス:6速デュアルクラッチ・オートマティック(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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