【実際に購入レポート】ポルシェ・タイカンの長期レポート(19) EVポルシェ、タイカンに丸2年乗りました。

公開 : 2024.03.25 12:15

EVに逆風吹くなか、レポート3年目に

私は、タイカンのボディデザインが気に入っており、外装色もアイスグレイというクレヨンとホワイトの中間色のようなカラーで、好きである。しかし、リアの居住スペースもしっかり確保した4ドアのクーペにまとめれば、ボデイサイズが大きくなるのは必然で、全長もだが、全幅が2m近くあるのは、かなりな威圧感である。因みに知り合いのカーデザイナーは、「こんなに大きなサイズが許されるなら、自由にデザイン出来ていいね」と話していた。

私の奥さんは、これまで、我が家のほぼ全ての日常使用のクルマを運転してきたが、巾が広く見切れないからと、このタイカンだけは避けている。また、ガラスルーフは、夏場にかなり熱を持ち、実際に室内も暑いので、残念ながら家族の評判は悪い。逆に、冬は、ヒーターの効きが充分でなく、シートヒーターを使用して漸く寒さが防げるレベルだ。これだけは何とかしてほしい。

一番の感想は、これまでと変わらぬポルシェライフを楽しめた、ということに尽きる。
一番の感想は、これまでと変わらぬポルシェライフを楽しめた、ということに尽きる。

この頃は、昨年までとは手のひらを返したように、EVに逆風が吹き荒れている。極端から極端に走るのがマスコミの常だが、ここは、基本に立ち返って物事を考えるべきだと思う。

現在判っている事実として、何れ化石燃料は枯渇し、また、地球温暖化にも早急に対処しなければいけないとされている。この解決方法の一つとしてEVがあるのであり、現状の技術レベルと環境を考えれば、当面はEVがじわじわ浸透して行くのではないかと思われる。要は人類が地球上で生きてゆくために便利かどうかであり、地球そのものにとってどうかは関係のない事なのだ。だから「地球にやさしく」という言葉ほど、傲慢な言葉はないと常々感じているところだ。

先日、グレードアップされたタイカンの2024年モデルが発表になった。初めてフェイスリフトが施され、これまでのやや愛嬌のある顔つきから、精悍さが増し力強いイメージとなった。同時に車載バッテリーも強化され93.4kWhから105kWhとなり、航続距離も何と678kmに伸びている。実際に使用しているオーナーの立場からすると、これは、とても大きなメリットであると思う。この航続距離があれば、前回の上越市までの旅行のようなことも発生しなかっただろう。

前述のようにトラブルはほぼ無かったが、僅かに2回だけ、スタート時にナビ画面が立ち上がらないことがあった。しかし、十数分待てば初期化が終了し復活することが判ったので、不安材料ではない。タイヤは、2セット目でまだリアが6部山、フロントが7部山程度で当分は問題なさそうだ。

冒頭にも書いたが、2年間、タイカンに乗っての一番の感想は、これまでと変わらぬポルシェライフを楽しめた、ということに尽きる。

最新の情報として、最高級グレードのタイカン・ターボGT、ターボGTヴァイザッハパッケージが発表となった。着実に進化し続けるタイカンに敬意を表するとともに、テスト車のタイカンがもはや古くなってしまったか、という恐れも感じるこの頃だ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    笹本健次

    Kenji Sasamoto

    1949年生まれ。趣味の出版社ネコ・パブリッシングのファウンダー。2011年9月よりAUTOCAR JAPANの編集長を務める。出版業界での長期にわたる豊富な経験を持ち、得意とする分野も自動車のみならず鉄道、モーターサイクルなど多岐にわたる。フェラーリ、ポルシェのファナティックとしても有名。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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