海外で「高級車レンタカー」ってアリorナシ? ディフェンダー借りてみた 高くても特別な経験に

公開 : 2024.03.26 06:05

高級車のレンタカーが注目を集めている。旅行や週末のお出かけ、または購入時の参考として借りる人もいるという。どのような体験を得られるのか、英国のレンタカー会社でランドローバーを借りて確かめてみた。

英国で高級車を借りてみた

レンタカーといえば、実用車のハッチバックやステーションワゴンなどが思い浮かぶだろう。急な出張や旅行先で「足」として使うクルマで、基本的に、人と荷物を載せる以上の機能は求められていない。

もちろん、すべてのレンタカーが同じというわけではなく、高級車を用意している会社もある。しかし、欧州では希望するモデルと似たタイプの “something similar(類似車種)” のキーを渡され、「思っていたのと違う……」と肩を落とすことも珍しくない。

ランドローバー・ディフェンダー(中央)のような高級車をレンタカーで乗るという珍しい体験ができる。
ランドローバーディフェンダー(中央)のような高級車をレンタカーで乗るという珍しい体験ができる。

英国のエイビス・プレステージ(Avis Prestige)というレンタカー会社は、ロンドン中心部だけでなく、主要空港のほとんどで高級レンタカーを展開しており、幸いながら意表を突かれるようなこともない。

同社は常時、ボルボメルセデス・ベンツアウディ、ランドローバー(レンジローバー含む)、ジャガーポルシェといった高級車を揃えている。そして、ヒースロー空港の営業所では、顧客専用の受付エリアが用意されている。

メルセデス・ベンツCLAシューティングブレイクでもポルシェ911でも、到着時の個人的な「お出迎え」をはじめ、同じレベルのサービスを受けられる。

ヒースロー空港では1日あたり500台のレンタカーがひしめき合っていると言われるが、エイビス・プレステージは英国内で全350台しか用意しておらず、空港や街中で見かけることは稀だ。

料金は? どんな人が利用している?

レンタル料金はモデルによって異なり、例えば週末に長めに借りるとして、レンジローバーP440e PHEVは1016ポンド(約19万円)だが、ポルシェ・カイエン・ハイブリッドは513ポンド(約9万8000円)と差が大きい。

エイビス・プレステージのクリス・ドモニー氏は、「当社のお客様の中には、成功したビジネスマンや観光客の方もいます」と語る。

旅行だけでなく、購入時の参考として試乗目的で借りる人もいるようだ。
旅行だけでなく、購入時の参考として試乗目的で借りる人もいるようだ。

「お客様はおそらく高価なクルマを所有しているので、渡航先でも同じ快適さとパフォーマンスを期待しているのでしょう。また、家族や友人を訪ねて戻ってくる海外勤務の方や、クルマを持っていないロンドン在住者、週末に少し変わったクルマで出かけたいという方、ゴルフ場に向かうゴルファーもいます。また、同じようなクルマの購入を検討していて、長期間の試乗を希望する方もいます」

今回、筆者はエイビス・プレステージのレンタカーを体験するために、ランドローバー・ディフェンダー110 D300 HSEを予約した。絵のように美しいマールボロ・ダウンズを経由してスウィンドンに親族を送迎したり、ウィンザーのクリスマス・イルミネーションを見に行ったりするためだ。

幸いなことに、今回は支払いを免除してくれたが、金曜日から月曜日のレンタル料は843ポンド(約16万円)であった。新車で買えば8万ポンド(約1500万円)するディフェンダーを、走行距離無制限で数日間楽しめるという喜びを考えれば、この料金はそこまで悪くないと思う。サーキットを数周する「体験」よりもお得感があるし、一緒に休暇を楽しむ人たちで分ければ、もっとお得だ。追加料金なしで2人目のドライバーも登録できる。

引き渡しは簡単で、車両の状態も完璧だ。さらに、レンタカーであることを示唆するものは何もない。最初に立ち寄ったエイビスのヒースロー空港の営業所では写真撮影をし、その後、郊外へ出向いてサリーヒルズを散策。翌日はダウンズ経由でスウィンドンへ。

ディフェンダーはこの上なく快適で、意外にも軽快だ。シートの座り心地とメリディアン製サウンドシステムの音質は、筆者が体験した中でも最上級のものだ。日曜日はウィンザーまで走って、残念なイルミネーションを見た。自宅の駐車場では、ディスプレイの割れた愛車が待っている。

月曜日の午前10時には、ディフェンダーを所有者に返した。良い体験ができたと思う。次にギリシャの島でぼろぼろのジムニーを3日間、600ポンドで借りるときにも思い出してしまうだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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