これが英国乗用車の「ど直球」 ヴォグゾール・ビバ HAからHCまで(1) オペルとのコラボ作

公開 : 2024.04.07 17:45

ビバという名にふさわしい陽気さ

それを試乗したAUTOCARは、「最も実用的で好感を持てる小型車」だと、高く評価している。ブルーのビバも、そのSL 90だ。「3年ほど前にイーベイで購入しました。最近も240kmほどの旅行をしましたが、まったく問題なしでしたね」

「ドライブすると、とても懐かしい気持ちになります。多くの人が手を振ってくれ、駐車場では話しかけてくれる人も沢山います」。とダレンがうれしそうに話す。

ブルーのヴォグゾール・ビバ HA SL90と、レッドのヴォグゾール・ビバ HB ブラバム
ブルーのヴォグゾール・ビバ HA SL90と、レッドのヴォグゾール・ビバ HB ブラバム

「通常のHAを運転したことがないので、SL 90がどれだけ速くなっているのかわかりません。でも、現代の交通環境に問題なく対応できていると思いますよ。145km/hまでは試したことがあります。それ以上は、出したいと思いませんが」

ビバ HAのSLとSL 90は、1万1794台が販売されているが、現存する例は非常に少ない。実際にステアリングホイールを握らせてもらうと、1960年代のモデルとして不満ない運転体験にあることがわかる。ビバという名にふさわしい、陽気さも漂う。

車内へ目を配ると、白い盤面に黒い文字が振られたメーターが、ビンテージ・レーサーのよう。初代オーナーが追加した、リアのバックライトは2ポンド、フェンダー上のサイドミラーは35ポンドのオプションだった。

初代ビバ HAは、1966年9月にサルーンの販売が終了。早々に2代目のHBへ後を譲った。ちなみにヴォグゾールの子会社、ベッドフォードは商用バンを1983年9月まで提供していた。それも、機会があればご紹介したい。

F1世界チャンピオンの息がかかったHB

ビバ HBでは、エンジンが高出力化され、サスペンションは大幅に改良。ボディサイドが僅かにくびれた、アメリカンなコークボトルラインのデザインが採用された。

筆者は、1960年代後半で最も魅力的なスタイリングの小型サルーンだと思う。トリムグレードは、デラックスとSLという2段階。後者には当初から、ディスクブレーキをフロントに採用した90もラインナップされた。

ヴォグゾール・ビバ HB ブラバム(1967〜1968年/英国仕様)
ヴォグゾール・ビバ HB ブラバム(1967〜1968年/英国仕様)

1967年2月には、SL 90にブラバム仕様が設定される。「3度のF1世界チャンピオンが、英国で最もエキサイティングなサルーンに息をかければ、何が起こる?」というキャッチコピーで、ドライバーの気持ちをくすぐった。

エンジンは、ツイン・キャブレターと専用カム、エグゾーストで強化。マホガニー材のシフトノブは、ブラバムのロゴで飾られた。ボンネットには、スポーティな通称「ズームストライプ」が与えられ、駐車場で注目を集めたことは間違いない。

ディーラー・オプションとして設定され、部品代が約10ポンドで、取付け費用も約10ポンド。しっかり新車保証も適用された。当時の自動車雑誌は、「突出した操縦性と、素晴らしいロードホールディング性」だと絶賛している。

しかし、1968年に2.0LエンジンのGTグレードが登場。ブラバムは廃盤となった。

この続きは、ヴォグゾール・ビバ HAからHCまで(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・ロバーツ

    Andrew Roberts

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ヴォグゾール・ビバ HAからHCまでの前後関係

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