名門「ブラバム」仕様も! ヴォグゾール・ビバ HAからHC(2) クーペのフィレンザは唯一の現存
公開 : 2024.04.07 17:46
今でも一般道を気持ちよく走れるフィレンザ
エンジンのラインナップは、ビバと同じ1159ccや1599cc、1975ccの直列4気筒だったが、1972年に1256cc、1759cc、2279ccという構成へ置き換わっている。
BWK 442Kのナンバーで登録されたフィレンザは後期の1300SLで、現存する唯一の車両だと考えられている。新車時から、イヤービー家が大切にしてきたといい、今は甥のクリストファー・イヤービー氏が面倒を見ている。
フラメンコ・レッドのボディカラーが眩しいが、ルーフラインも印象的。1970年代初頭のヴォグゾールの挑戦が、カタチに表れている。2ドアサルーンのビバ 1300SLより65ポンド高い価格と、カプリ 1300並みの魅力を、納得させることが狙われていた。
丸目4灯のヘッドライトと、フロントグリルは専用設定。ロスタイル・アルミホイールは、35ポンドのオプションだった。横に長いスピードメーターは、この時代の定番だ。
「1256ccなので、路面にブラックマークを付けるような加速はしません。でも、一般道を今でも気持ち良く走れます。高速道路の110km/h前後では、エンジンは頑張っているのを隠しません。95km/hくらいが、最も快適ですね」
「コーナリングはかなりソフトですが、心地良く運転できます。叔父が、毎日乗っていたクルマでした。多くの人は、このモデルが何か知りません。フィレンザという名前を伝えても、理解してもらえない場合が多いですね」。とクリストファーが話す。
抵抗し難いフロントノーズのストライプ
1975年に、ヴォグゾール・シェベットが登場。ビバ HCの生産は1979年7月まで続いたが、HDが登場することはなかった。独自モデルの設計は途絶え、GMの計画通り、ヴォグゾールは英国のオペルというポジショニングが確立されるに至った。
今回の4台には、英国人ならいずれも特別な魅力を感じるはず。アメリカンな雰囲気のビバ HCやフィレンザは、とても1970年代らしい。初代のHA SL90も、当時の住宅前に停まっている様子が自然と思い浮かぶ。
特に筆者が強い共感を感じたのは、2代目のHB。スポーティなブラバム・デラックスが放つ雰囲気は、ページェント・レッドの塗装と相まって、視線を釘付けにする。フロントノーズのストライプへ、抵抗することは難しい。
協力:ルートンホー・ホテル、ヴォグゾール・ビバ・オーナーズクラブ