電動マイクロカーって本当はどうなの? 特長が活きる場所はある サイレンスS04へ試乗

公開 : 2024.04.06 19:05

ダカール・ラリーのライダーが創業した新興企業、サイレンス 最高速度83km/h、航続距離148kmの電動マイクロカー クルマっぽくて走りもイイ 英国編集部が評価

ダカール・ラリーのライダーが創業した新興企業

電動スクーターを手掛けてきたスペインの新興企業、サイレンス社が四輪のマイクロカーを発売した。AUTOCARでは、シトロエン・アミを過去に取り上げているが、それ以上の体験を約束するとか。

ダカール・ラリーをオフロードバイクで戦ってきた、プロライダーのカルロス・ソテロ氏が2014年に創業したのが、このサイレンス社。バルセロナ郊外に建つ、元日産の工場を居抜きで購入し、年間4万台の電動モビリティが生産されている。

サイレンスS04 プレミアム(英国仕様)
サイレンスS04 プレミアム(英国仕様)

最初に発売されたサイレンスS02は、都市部を駆け回るビジネスマンを前提とした、電動スクーター。2019年には、より上級なS01も追加された。そして最新のモデルが、今回試乗したマイクロカー、S04だ。

グレートブリテン島への輸入は、ジャガーランドローバー社に在籍していた、ジョン・エドワーズ氏らが手掛けている。バーミンガムの南東、ソリフルに英国のメイン・ディーラーがあり、同社の最新モデルを購入できる。

S04の全長は2280mmで、全幅は1290mm。車重は450kgと軽い。アミと同じく、スペースフレーム・シャシーに、コンポジット素材のボディがかぶさっているが、製造品質はかなり高い。

車内はしっかり内装で覆われ、フレームは露出していない。手で触れる部分は、ソフト加工されている。定員は2名。肩が触れ合わないよう、オフセットして座る。シートの後方には、リアハッチからもアクセス可能な、313Lの荷室がある。

最高速度83km/h 航続距離は最長148km

装備も充実している。エアコンにパワーウインドウ、集中ドアロックは標準。メーターパネルは7.0インチのモニター式で、スマートフォンを繋いで音楽を再生できる、スピーカーも備わる。

左ハンドルのみだが、幅が狭いから殆ど気にならない。むしろ、英国では縦列駐車しやすいし、すぐに歩道側へ降りられる。

サイレンスS04 プレミアム(英国仕様)
サイレンスS04 プレミアム(英国仕様)

駆動用モーターは、リア側に2基積まれ、左右個別のタイヤを受け持つ。通常の出力は19psで、短時間だけ30psを発揮できるという。最高速度は83km/h。駆動用バッテリーは、左右のシートの下に、2ユニットに別れて載っている。

ちなみに、このバッテリーは同社の電動スクーターと同じもの。2輪車の場合は、1ユニットでまかなわれている。車体から取り外せるが、容量は5.6kWhと大きめで、かなり重い。

「40kgあるので、リュックには入りませんね」。エドワーズが説明する。スーツケースのように、小さなタイヤとハンドルが付いており、充電器まで駆動用バッテリーだけ移動することが可能。車体側の充電ソケットへケーブルを繋ぎ、充電もできる。

バルセロナでは、サイレンス社の電動スクーターが急速に普及している。市内には、バッテリーの交換ステーションも展開されているという。

航続距離は、2基の駆動用バッテリーがフル充電で、最長148kmが主張される。試乗車は充電量が90%で、パワーが少し絞られるシティ・モード時は100kmが表示された。
スポーツ・モードへ切り替えると80kmへ短くなるが、エコ・モードなら120kmだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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