電動マイクロカーって本当はどうなの? 特長が活きる場所はある サイレンスS04へ試乗

公開 : 2024.04.06 19:05

クルマっぽくて走りもイイ 乗り心地は硬め

実際に走らせてみると、表示されている航続距離は正確な様子。アクセルペダルを優しく扱わなくても、100km前後は簡単に走れるようだ。

エドワーズは、クルマのように運転できると話していたが、確かに扱いやすい。アミより、クルマっぽくて走りもイイ。

サイレンスS04 プレミアム(英国仕様)
サイレンスS04 プレミアム(英国仕様)

動力性能は、通常のバッテリーEVと比べて鋭いわけではない。0-48km/h加速は7.0秒と穏やかなレベルだが、交通の流れには問題なく着いていける。そして、運転が楽しい。

最小回転直径は3.5mと小さく、ステアリングはダイレクト。155/65 R14のタイヤは良くグリップし、キビキビと走る。ブレーキにはABSも備わる。

乗り心地は硬め。全幅に対して全高が高く、ボディの傾きを抑える必要があるためだ。英国のように舗装の悪い区間が多い場所では、ちょっと不快ではある。速度抑止用のスピードバンプは、結構しんどい。

車内は、自転車と違ってエアコンが効いている。雨に濡れることはない。ステレオも付いているから、気に入った音楽を聞いていられる。

試乗したS04 プレミアムの英国価格は、1万5995ポンド(約302万円)から。電動スクーターではなく、間違いなくクルマの価格帯にある。正直なところ、これより安価な4シーターのバッテリーEVは存在する。

だが、特定の目的や環境なら、使い勝手は優れるだろう。市街地での配達や、リゾート地での短距離移動など、能力を活かせる場所はある。

英国では年間数100台の販売を想定

現在の社会は、S04より遥かに大きいサイズのクルマを基準に構築されている。もっと小型化できるにも関わらず、モデルチェンジのたびにボディサイズは拡大してきた。少し馴染めない条件があったとしても、それはS04だけの理由ではないように思う。

英国では、年間数100台の販売が見込まれている。電動スクーターの販売も手掛けているエドワーズは、それより人気を集める可能性があると考えている。筆者も、そうなることを願っている。

サイレンスS04 プレミアム(英国仕様)
サイレンスS04 プレミアム(英国仕様)

◯:リゾート地や配達業務などへ理に適ったデザイン 普通車へ劣らない製造品質と装備
△:硬めの乗り心地 低めの動力性能

サイレンスS04 プレミアム(英国仕様)のスペック

英国価格:1万5995ポンド(約302万円)
全長:2280mm
全幅:1290mm
全高:1590mm
最高速度:83km/h
0-100km/h加速:−秒
航続距離:148km
電費:8.3km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:450kg
パワートレイン:ツインモーター
バッテリー:11.2kWh(実容量)
急速充電能力:−kW
最高出力:30ps
最大トルク:−kg-m
ギアボックス:1速リダクション(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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