英アストン マーティン、新CEOをベントレーから「引き抜き」 エイドリアン・ホールマーク氏が年内就任へ

公開 : 2024.04.02 06:05

アストン マーティンが新CEOとして、現ベントレーCEOのエイドリアン・ホールマーク氏を指名した。遅くとも10月までに就任する予定。同氏は近年のベントレーで収益性を大きく改善した功績がある。

突然の「サプライズ発表」

英国の自動車メーカーであるアストン マーティンは3月22日、新しいCEOにエイドリアン・ホールマーク氏を任命したと発表した。

ホールマーク氏はベントレーの現CEOであるが、同社からも同じ日に退任が発表された。「遅くとも2024年10月1日まで」にアストン マーティンのCEOに就任するという。

エイドリアン・ホールマーク氏は6年間にわたってベントレーのCEOを務めた。
エイドリアン・ホールマーク氏は6年間にわたってベントレーのCEOを務めた。

アストン マーティンにとって、この約4年間でトビアス・モアーズ氏、アメデオ・フェリーサ氏(現職)に続く3人目の新CEOとなる。

同社のローレンス・ストロール会長は、現職のフェリーサ氏の2年間にわたる舵取りに感謝し、次のように述べた。

「アメデオがCEOに任命されたとき、わたしは彼が成長と発展の新たな段階をリードするだとうと期待していた。それから2年、約束は果たされた。スリリングな新製品ポートフォリオを完成させ、世界で最も魅力的な超高級ブリティッシュ・パフォーマンス・ブランドになるというビジョンに近づいている」

「アメデオがアストン マーティンで成し遂げたことだけでなく、超高級車業界の頂点における彼の長く輝かしいキャリアを評価し、個人的に敬意を表したい。アメデオが、エイドリアンの入社まで引き続き在任し、新製品の立ち上げを監督してくれることを嬉しく思う。息をのむような新しいフロントエンジン・スポーツカーのラインナップは、彼の時代とその製品戦略にふさわしいレガシーである」

「アストン マーティンの最近の成功に対するアメデオの貢献を称えたい」

新たにCEOに就任するホールマーク氏は、アストン マーティンの変革の時代の幕開けを担うことになる。新型プラグインハイブリッド車をはじめとするラインナップの電動化が予定されており、2026年には同社初のEVがデビューする予定だ。

ベントレーにおけるホールマーク氏の主な功績に、パーソナライゼーション・サービスである「マリナー(Mulliner)」の規模拡大が挙げられる。2023年には車両1台あたりの平均販売価格を過去最高の21万3000ポンドに押し上げるなど、収益性の改善に貢献した。

移籍に際し、ホールマーク氏は次のようにコメントしている。

「わたしはアストン マーティンのブランドと製品の継続的な変革を遠くから賞賛してきました。ローレンス(会長)、取締役会、従業員とともに次の章をリードする機会を得たことを光栄に思います」

「アストン マーティンの変革は、超高級車業界において最もエキサイティングなプロジェクトの1つです。わたしは、会社の素晴らしい勢いを継続させ、経験と情熱を活かして、この象徴的なブランドの可能性をさらに引き出し、さらなる成功へと導くことを楽しみにしています」

ホールマーク氏は自動車業界で25年のキャリアを持ち、ポルシェフォルクスワーゲンジャガーランドローバーにも在籍した経験がある。特に、1999年から2005年まではベントレーの販売マーケティング責任者を務め、フォルクスワーゲン・グループの傘下で同社の復活で大きな役割を果たした。

ベントレーのCEO就任後は、収益性の改善とともに、電動化を見据えた事業戦略「Beyond 100」を推進してきた。

ベントレーの年次報告書が発表された数日後、ホールマーク氏はメディアのインタビューに応えたが、退任の気配はまったく見せなかった。それだけに、今回の移籍発表は大きな驚きをもって迎えられている。

ベントレーは、ホールマーク氏の後任を「追って」発表すると述べている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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