ダッシュボードは大改善 フォルクスワーゲンID.5 GTXへ試乗 「7」と同モーターで339ps

公開 : 2024.04.24 19:05

VWの電動ファミリー・クロスオーバー、ID.5 GTXはツインモーターで339psに 力強い低速加速 全体的な運転体験はこのクラスの平均 英国編集部が評価

ID.7と同じモーターで339psへ

フォルクスワーゲンID.4のクーペ版、ID.5は欧州での発売から2年ほど。それでも、既に複数回のアップデートを受けている。

写真ではサイズ感を掴みにくいが、全長は4599mm、全幅が1852mm、全高は1616mmと、決して小さくはない。定員は5名。荷室容量は549Lと大きく、ファミリー・クロスオーバーとして不満のない実用性を備える。

フォルクスワーゲンID.5 GTX(欧州仕様)
フォルクスワーゲンID.5 GTX(欧州仕様)

今回試乗したのは、ツインモーターのトップグレードとなる、GTX。英国価格は5万5650ポンド(約1052万円)と、かなりの金額に設定されている。

最新のアップデートでは、ID.4と同時に、駆動用モーターがフォルクスワーゲンの新しいAP550ユニットへ置換された。これは大型サルーンのID.7と同じもので、システム総合での最高出力は、40ps増しの339psへ上昇。最大トルクは69.1kg-mもある。

他方、駆動用バッテリーの容量は77.0kWhで変わりなし。しかし、熱管理の徹底でエネルギー効率が高められている。その結果、航続距離は16km増しの527kmへ延長。急速充電能力は最大135kWへ向上している。今回は、その実力を確かめられていないが。

ただし、さほど距離を走らない一般的なユーザーの場合、12.9インチへ拡大されたタッチモニターと、メニューやグラフィックが刷新されたインフォテインメント・システムなどの方が、うれしい内容かもしれない。

GTEやGTDに相当するGTX 低速加速が強み

タッチモニターの下部にある、エアコンの温度調整を担うタッチセンサーのスライダーには、夜間でもわかりやすいようイルミネーションが内蔵された。暗がりの中、手探りする必要はなくなった。

実際に触れてみると、使い勝手は明確に改善している。送風口から吹き出る空気の温度を素早く変えられるだけでなく、運転支援システムのオン/オフもホーム画面から簡単に実行できる。それでも、タッチモニターが司る機能は多すぎる印象だけれど。

フォルクスワーゲンID.5 GTX(欧州仕様)
フォルクスワーゲンID.5 GTX(欧州仕様)

ライト類のオン/オフとミラーの調整には、独立したボタンが用意された。大きな進歩といっていい。

今回のGTXというグレードは、バッテリーEVにおけるGTEやGTDに相当する内容だと、フォルクスワーゲンは主張する。高性能なGTIには及ばないものの、適度なスポーティさがあるということだろう。確かに、日常の移動を色付けるパフォーマンスは備わる。

ID.5 GTXの強みといえるのが、力強い低速加速。0-100km/h加速は5.5秒から5.4秒へ、0.1秒だけ縮めているが、停止状態からの初動は印象的なほど鋭い。アクセル操作に対するレスポンスも、線形的で好ましい。

回生ブレーキの効きは、シフトセレクターの「D」と「B」で切り替えられる。Dでは効きは弱め。Bへ切り替えると、シフトダウンしてエンジンブレーキをかけた時のように、強力に減速する。

筆者の場合は、ステアリングホイール裏のパドルで、数段階から回生ブレーキの強さを選べる方が好みだ。ヒョンデアイオニック5のように。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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