加速時はリアタイヤが「右往左往」! カレラRSR 2.1ターボ 935/78 GT1 911を3台乗り比べ(3)
公開 : 2024.04.20 17:47
躍動的で動物的 リアタイヤが右往左往
ステアリングホイールはモモ。ハーネスを締めたドライビングポジションは、現代のル・マン・ハイパーカーとも異なる。スタイリングはモダンだが、サーキットを走り出すと、素晴らしいアナログマシンだということが見えてくる。
935/78「モビー・ディック」より、フラット6ツインターボが発揮する最高出力は200馬力以上低い。それでも、911 GT1は躍動的で動物的。右足を深く傾けるたびに、トラクションの足りないリアタイヤが右往左往する。
トランスミッションはシーケンシャルながら、現代のユニットとは異なり、変速時にクラッチペダルを踏む必要がある。ブレーキの効きは唐突で、ヒール&トウしにくい。
タイミング良く、エンジンの回転数を合わせられると気持ち良い。ところが一歩間違うと、太いリアタイヤはロックしてしまう。
それでも、フロントノーズはステアリングホイールの細かな入力へ逐一反応。フラットなアンダーボディと、巨大なディフューザー、そびえ立つGTウイングは、頼もしいダウンフォースを生成する。
4000rpmから6500rpmの間のパンチ力は、内臓へ響くほど強烈。病みつきになる体験だ。筆者のスキルでは不可能だとわかっていても、超貴重な911 GT1の限界がどこまで高いのか、探りたい気持ちになってしまう。
モータースポーツで醸成された技術の浸透
911 カレラRSR 2.1ターボの登場から50年。サーキットで圧倒的な速さを披露したレーシングカーたちが、ブランドの名声を勝ち取ってきた。そこで培われたターボ技術は、より速く扱いやすい、エキサイティングな公道用モデルへと展開されてきた。
既に現行の992型911では、ターボを名乗らないカレラでも、ターボチャージャーを搭載している。モータースポーツで醸成してきた技術が、半世紀をかけて、ポルシェの隅々まで浸透していったことは間違いない。
協力:ポルシェ・ミュージアム・アーカイブ、イェンス・トーナー氏
撮影:マーク・リッチョーニ
画像提供:ポルシェ
ポルシェ911のターボ・レーサー 3台のスペック
ポルシェ911 カレラRSR 2.1ターボ(1974年)
全長:4235mm
全幅:2000mm
全高:1320mm
最高速度:304km/h
0-97km/h加速:3.2秒
燃費:−km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:828kg
パワートレイン:水平対向6気筒2142cc ターボチャージャー SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:500ps/7600rpm
最大トルク:56.9kg-m/5400rpm
トランスミッション:5速マニュアル(後輪駆動)
ポルシェ911 935/78(1978年)
全長:4890mm
全幅:1990mm
全高:1200mm
最高速度:366km/h
0-97km/h加速:2.6秒
燃費:−km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1025kg
パワートレイン:水平対向6気筒3211cc ツイン・ターボチャージャー DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:857ps/8200rpm
最大トルク:79.7kg-m/6600rpm
トランスミッション:4速マニュアル(後輪駆動)
ポルシェ911 GT1(1998年)
全長:4925mm
全幅:1990mm
全高:1140mm
最高速度:310km/h
0-97km/h加速:2.6秒
燃費:−km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:950kg
パワートレイン:水平対向6気筒3164cc ツイン・ターボチャージャー DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:549ps/7200rpm
最大トルク:64.1kg-m/5000rpm
トランスミッション:6速シーケンシャル・マニュアル(後輪駆動)
画像 「スピード抑制」から生まれた高速ポルシェ カレラRSR 2.1ターボ 935/78 GT1 917Kと718も 全128枚