フォルクスワーゲンID7 詳細データテスト クラス屈指の広さと快適さ 適度な走り 質感は価格相応

公開 : 2024.04.06 20:25  更新 : 2024.04.20 06:57

IDシリーズの旗艦モデルは、気負わず付き合えるフォルクスワーゲンらしさと、大型セダンにふさわしい動力性能や操縦性、快適性をあわせ持ち、価格設定も抑えめ。際立つ特徴はないものの、バランスのいいEVサルーンでした。

はじめに

自動車メーカーは、高価な大型サルーンに主張を込めるもので、それはこの5m級EVであるフォルクスワーゲンID7も例外ではない。とはいえ、堂々たるものながら支持されずに終わったフェートン以来の大型車は、ドイツ製サルーンとしては技術的な先進性も、明らかな高級感も薄い。単に、フォルクスワーゲンは大型EVを作れるのだと示しただけに思える。最初や2番目ではなく、IDバズも入れれば5番目となるEV専用モデルでそれを主張するということからは、遅れている内燃機関から電動への移行における、フォルクスワーゲンの熱意が伝わってくる。

ゴルフ級ハッチバックのID3、クロスオーバーのID4とスポーティなボディタイプのバリエーションとなるID5は、どれも悪くないクルマだ。しかし、楽に乗れる資質は欠けていた。それこそ、しばしばフォルクスワーゲンをベストな選択肢としていた要素なのだが。さらにこのクラスのEV市場では、アジア勢の躍進も著しい。

テスト車:フォルクスワーゲンID7プロ・マッチ
テスト車:フォルクスワーゲンID7プロ・マッチ    JACK HARRISON

そこでID7は、そうしたトーンをリセットし、BMW i5やメルセデス・ベンツEQEなどのシェアを奪うことを目指した。サイズ的にはそのクラスに近いが、価格はi4やテスラモデル3と競合する。1990年代後半のフォルクスワーゲン的な華美さがあるというテスターもいたが、はたしてどのようなクルマに仕上がっているのだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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