フォルクスワーゲンID7 詳細データテスト クラス屈指の広さと快適さ 適度な走り 質感は価格相応
公開 : 2024.04.06 20:25 更新 : 2024.04.20 06:57
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
ID7の長いセダンボディは、これまでのIDモデルより空力効率の基礎に優れる。丸みを帯びたフロントとスッパリ切り落としたカムテール的なリアを見るに、エンジニアたちはその素地を無駄にしなかったようだ。0.23というCd値は、この価格帯ではベストで、公称616kmという航続距離に寄与する。フォルクスワーゲンのEVでは最長だ。
しかし、エアフローはひとつの要素に過ぎない。プラットフォームはIDシリーズが共用するMEBで、ホイールベースはID4より200mmほど長い2971mmに延長。そのリアに搭載するのはAPP550と銘打った、現状のフォルクスワーゲンでもっとも高効率な電動パワートレインだ。
永久磁石同期モーターはローターの耐熱性を向上し、1速ギアボックスもフリクションを低減。フォルクスワーゲンでもっともパワフルかつトルクフルとなっている。テスト車の仕様は286ps/55.6kg-mだが、4WDのGTXは340psに達する。
テストしたプロ仕様のバッテリーは77kWhで、急速充電性能は最大175kW。上位のプロSは86kWhで、充電ピークは200kW、航続距離は640kmを超える。
サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアが専用設計で遮音や衝撃吸収を改善したマルチリンクで、スティールのコイル仕様のみ。オプションにエアスプリングの設定はないが、15段階切り替えが可能な改良版のDCCダンパーは選択できる。ただし、エクステリアパック・プラスに含まれ、可変レシオステアリングとのセット装着だ。
ドイツ・エムデン工場で生産されるID7は、シャシー制御の頭脳と言えるヴィークルダイナミックマネージャーの新たなチューニングの恩恵を受けているはずだ。フォルクスワーゲンによれば、電子制御のスタビリティコントロールとダンピングシステムにより、快適性と敏捷性の両立を最適化するという。
同時に、オプションのプログレッシブ電動機械式ステアリングは、長いホイールベースを相殺し、切り始めのレスポンスを改善するため、再調整されている。