ランドローバー・ディスカバリー・スポーツSE
公開 : 2014.12.08 23:40 更新 : 2017.05.29 19:17
販売開始から最初の6から8ヶ月間は、PSAやフォードとも共有する、イヴォークやフリーランダーと同じ191psのSD4ディーゼルの一択となる。よって今回のテスト車両にもこのユニットがZF製のなめらかに変速する9速オートマティック・ギアボックスとともに組み合わされている。
ドライビング・コンディションによってスロットル、ギア選択、トルク配分、ABS/トラクション・コントロールを4つのセッティングによって調整するテレイン・レスポンス・システムを介して各タイヤへと伝達される仕組みだ。
また1年以内には英国はウォルヴァーハンプトンで組み立てられるJLR製の先進的な4気筒エンジンが組み合わされる予定。これによって燃料消費率やCO2排出量の大幅な改善が見込まれるのだそう。またこの段階で2WD版も追加され、エントリー・プライスは£32,395(613万円)まで下がり、2WDとMTの組み合わせならば£30,000(568万円)以下になる見込みだ。
いざ乗り込むと、フロント・シートはことのほか快適。また居住空間を取り巻くトリムの質感に安っぽさはない。2列目のシートのサイズも大きめで、ここからも前方の視界が開けているのは非常にありがたい。目を引く高級感はレンジローバーに任せ、堅実に、そして地道に実用性を底上げした印象がある。
最後列のシートは12歳以下の子どもならば窮屈に感じることはないだろう。また使用しない場合は折りたたむことができるので有効にトランク・ルームを使うことができる。ただし3列目のシートの使用時は、画像をみれば分かりやすいかもしれないが、トランク・ルームの実用性はほとんどないと言っていい。また3列目のシートがあるおかげで(英国では標準装備)、スペア・タイヤが備わらないことも覚えておかなければならない。
デビューからすでに幾ばくかの時が経った2.2ℓのディーゼル・エンジンはアイドリングの回転域でもかなりの音を響かせる。しかし9速トランスミッションが懸命にシフトアップを繰り返し、なるべく低い回転域に留めようとしてくれるおかげで、クルージングではさほど煩いと感じることはない。
ロード・ノイズは最小限に抑えられているおかげで、1列目のシートから2、3列目のパッセンジャーと会話する際も、大きな声を出す必要はない。
160km/h前後までの風切り音はまったく問題にならず、190km/h後半の全開走行でも我慢ならないほど煩いと感じることはなかった。したがって雑音の類は、高回転まで引っ張った際のエンジン音のみと言っていい。ただし1速の低い回転域のみ、エンジンから伝わる微振動には我慢する必要がある。
操舵フィールはイヴォークの信奉者さえも気に入るはず。ステアリングに不感帯はなく、その繊細さと太めのリムの相性はいい。また電制ステアリング特有の人工的な感覚が残らないのも加点ポイントだ。