アウディA1 1.0 TFSI SE

公開 : 2014.12.09 23:50  更新 : 2017.05.29 18:15

■どんな感じ?

以前までの3気筒ユニットといえば、息を切らしやすく低速域でもよくガタガタと揺れていたものだが、それらの粗が丁寧にヤスリにかけられたかのように、スムーズかつアウディのイメージに従うものとなっている。

アイドリングではボンネットの下で3気筒が仕事をしているとは気づかないほどで、そこから加速を始めても、もしかすると気づかない人もいるかもしれない。

トヨタ・アイゴやシトロエンC1の3気筒ユニットなどに散見される振動は巧みに抑えられており、シフト・ノブやアクセル・ペダルにも、ほんのわずかな振動しか伝わってこない。

したがって必然的に加速も上品なもの。パンチがある、というと言いすぎになってしまうけれど、自然吸気ユニットとほとんど同じくらいに嫋やかに上の回転域まで回ってゆく。2500rpmから上はなおさら快活になり、そこから先のダレも見当たらない。

小型車であるにもかかわらず、それぞれの機構がぎっしりと詰まっているうえ、ややロング・ギアレシオであることが起因して立ち上がりから軽々と加速していく類ではないが、その回転域ではブロワーがきちんと回ることにより低回転の力強さも最低限確保している。

ただし、やはり限界はある。大人ならば上り坂では2、3人の乗車が限度といったところで、高速道路でも十分な追い越し加速が得られるとは言いがたい。もし長距離を運転する機会が多いならば、150psを発生する1.4ℓ TFSIを選ぶほうが、完璧なクルマとは言いがたいが、救われることが多そうだ。

残念なのは短いホイールベースならではの軽快感を感じられなかったこと。またテスト前に ”エレクトリック・ステアリングは油圧よりもクイックなのですよ” と聞いていたにもかかわらず、ミニのステアリングのようなポジティブな印象がなかったのもやや不満。もう少しこの新しいステアリング・システムを煮詰めなおして欲しいと思わずにはいられなかった。

ただし23.3km/ℓという複合サイクル燃費と、小さな排気量を思い出せば、とたんにこのグレードの存在意義が拠り所を見つけるのは事実。また1.6ℓ TDIよりもこちらの1.0ℓ TFSIの方が気持ちよく運転できるという点も、購入を後押ししてくれるに違いない。

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