快適な長距離クルーザー:ジープ・アベンジャー 成長過程の特有な個性:BYDドルフィン 魅力的な特徴は多いケド:ボルボEX30 お手頃EV 12台比較(2)
公開 : 2024.04.16 19:05
2024年の英国で売られているEVで、コスパ1番といえる1台とは? 4万ポンド(約756万円)以下の条件で12台を選出 中国の新興メーカーも交え、英国編集部が一挙試乗
もくじ
ー10位:ジープ・アベンジャー 快適な長距離クルーザー
ー9位:BYDドルフィン 成長過程にある特有な個性
ー8位:ボルボEX30 期待へ応える特徴は多いが・・
ージープ・アベンジャーとBYDドルフィン、ボルボEX30のスペック
10位:ジープ・アベンジャー 快適な長距離クルーザー
以前から、ジープ・アベンジャーの評価は高かった。今日は、ロンドンの自宅から審査会場まで運転したが、その印象も良かった。高速道路を快適に走れる、長距離クルーザーだと理解できた。入力へ正確に反応し、一般道でも扱いやすかった。
シートには横方向のサポート性がもう少し欲しいが、運転姿勢も好ましい。コンパクトSUVというより、ハッチバックのようだ。
駐車場では、アウトドア感を漂わせるスクエアなスタイリングが際立つ。試乗車の鮮やかな塗装も、若々しい雰囲気へ貢献していた。
しかしライバルと乗り比べると、意外にも明確な強みが薄いことへ気付く。単独では素晴らしいのだが、審査員6名の評価は伸びなかった。
特に足を引っ張ったのが、乗り心地。高速道路ではフラットで快適なものの、速度域が低い一般道では印象が曇る。アスファルトの剥がれた穴を通過すると、明確な衝撃を鋭く車内へ届けてしまう。
落ち着きでは、ルノー・メガーヌ E-テック・エレクトリックの方が上。重み付けの良いステアリングホイールは感触が乏しく、連続するカーブを楽しめるわけではない。
内装の知覚品質も、強みとはいえないだろう。硬質なプラスティック部分が多く、一部は組み立てが甘いように見えた。より高級感があり、空間の広いモデルが、今回の12台には多かった。
アベンジャーは良いクルマだと思う。イメージへ共感したら、素直に選んで後悔はしないだろう。だが実力派が揃った比較では、つぶさに優劣が見えてしまった。人間工学と電費効率も、改める余地はありそうだ。
9位:BYDドルフィン 成長過程にある特有な個性
BYDドルフィンの車内には、特有の匂いがある。見た目や乗り心地も、特有といっていい。一般的な欧州メーカーのモデルへ乗り慣れていると、不自然に感じる部分はある。好きになりにくい、と感じる読者もいらっしゃるだろう。
ボディカラーの設定は面白い。アイボリーの他に、ピンクやパープルも選べる。インテリアは雑貨のようだし、センターモニターは縦向きから横向きへ回せる。歩行者への接近警告音は、筆者が聞いた中で1番大きい。その音は、クジラの鳴き声のようだった。
車内空間は、ボディサイズを考えればかなり広い。シートの座り心地も褒められる。サスペンションはソフトで、乗り心地重視。コンフォート・グレードの場合、今回の12台では英国価格が最も安く、装備も充実している。
しかし、インフォテインメント・システムのソフトウエアは詰めが甘い。充分に機能しない運転支援システムをオフにするだけでも、操作は複雑。スピード違反していないのに、誤って警告されたことはしばしば。
実際の電費は、さほど良くない。急速充電能力も平均以下で、長距離旅行が得意とはいえないだろう。小さなドルフィンが成長過程にあることは否めない。
実際のところ、MG 4 EVロングレンジのSEグレードの方が更に安く、洗練されている。交差点での加速時にトルクステアが表れたり、トラクション・コントロールのお世話になることもない。乗り心地は硬めでも、一体感ある運転を楽しめる。