テスラ新型EV、開発中止か 安価な「モデル2」から自動運転ロボタクシーへシフト

公開 : 2024.04.08 18:05

米テスラが新型の低価格EV「モデル2」の開発を中止したと報じられている。自動運転のロボタクシーへリソースを配分するようだ。モデル2は2万5000ドル(約380万円)以下で発売予定だった。

低価格EVは破棄? 自動運転車に注力か

米国のEVメーカーであるテスラは、新型の低価格EV「モデル2」の開発を中止した可能性がある。ロイター通信が報じている。

モデル2(仮称)は2万5000ドル(約380万円)以下の小型のエントリーモデルで、イーロン・マスクCEOは最近、来年後半に生産を開始する可能性を示唆していた。

新型EVの車名は明らかにされていないが、非公式に「モデル2」と呼ばれてきた。(編集部作成予想イメージCG)
新型EVの車名は明らかにされていないが、非公式に「モデル2」と呼ばれてきた。(編集部作成予想イメージCG)    AUTOCAR

ロイター通信は内部事情に詳しい3人の関係筋の話として、新型EVの開発計画は中止され、採用予定だったプラットフォームは現在、自動運転ロボタクシーに使われることになったと伝えている。

テスラは弊誌の取材に対しコメントを控えた。マスクCEOは自身のXアカウントで「ロイターは死につつある(Reuters is dying)」とだけ投稿した。

テスラは以前から、モデル3モデルYの下に位置する低価格EVの計画をほのめかしてきた。社内コードネーム「プロジェクト・レッドウッド」として野心的な販売台数の拡大を狙っており、直近では車両のシルエットも公開した。

自動車メーカー各社はEVの生産コスト削減による普及促進を図っており、特にBYDをはじめとする中国メーカーが存在感を放つ。ルノーなど欧州メーカーも低価格EVの導入を急いでいる。数も多様性も拡大しつつある中で、テスラのモデル2は市場を大きく揺るがすと思われた。

モデル2の実現に不可欠なのは「Unboxed」と呼ばれる新しい生産プロセスだ。これは基本的に生産時の作業量の削減を中心とするもので、生産ライン上で車両や部品の不必要な移動・分解を避ける。

例えば、シートは床下のバッテリーパックに直接取り付けられてユニットとなり、ドアの取り外しや再装着を避けるために分割塗装されたボディシェルと組み合わされる。

モデル2の初期生産はドイツで行われる予定だった。ベースとなるプラットフォームは、従来のテスラ車とは異なるものと考えられていた。

ロイター通信によると、このプラットフォームと新しい生産プロセスは、テスラの長年の懸案であった自動運転ロボタクシーに採用されるという。「イーロンの指示は、ロボタクシーに全力投球することだ」という関係筋の言葉を引用している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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