BMW5シリーズ 詳細データテスト 強心臓と洗練されたサスペンションを兼備 車体は大きくなりすぎ

公開 : 2024.04.13 20:25  更新 : 2024.04.20 04:54

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

G60のフロント周りは、SUVのiXに似た雰囲気がある。エレガントさを期待されるクルマに、このアプローチはいかがなものだろうか。とはいえ、チャレンジングな5シリーズはこれが最初ではない。E39では人気の高かったシャークノーズと決別し、バングル指揮下のE60はフレームサーフェスを含む斬新なデザインで賛否を呼んだ。

それらと同じく、G60は一目惚れできるクルマではないかもしれないが、スロープを描くトランクスペースは、ポール・ブラックが生み出したE12こと初代を彷彿させる。イタリア車的なルックスや、みごとなプロポーションもあわせ持つ。

英国仕様のエンジンはガソリンのみで、3.0L直6のB58型と2.0L直4のB48型。いずれもハイブリッド化されている。
英国仕様のエンジンはガソリンのみで、3.0L直6のB58型と2.0L直4のB48型。いずれもハイブリッド化されている。    MAX EDLESTON

この新型は、歴代最大の5シリーズだ。少し前なら7シリーズといってもいいくらいのサイズ感となっている。ホイールベースは先代比24mm延長された2995mmで、プラットフォームはCLARの長めなバリエーション。全長はついに5mを超えた。

それに伴い、ウェイトも増加した。エントリーモデルの520i Mスポーツは1725kgで、先代の同等モデルより115kg増。48Vマイルドハイブリッドの採用が、その一因といえるだろう。

フレキシブルなCLARプラットフォームが導入されたのは2015年だが、EV版のi5やPHEVを用意するべくアップデートされている。それを別にすれば、メカニズムはおおむねこれまでどおり。アルミ部材を用いたサスペンションには、スプリングと電子制御ダンパーを使用する。ICEモデルにはBMWが信を置くZF製の8速ATを積み、PHEV版はモーターを組み込んで並外れた経済性とまずまずのEV航続距離を実現する。四輪駆動はいまのところ、最上位グレードの550e xドライブだ。

英国仕様は、i5 eドライブ40を除く全車がMスポーツ仕様で、ハードなスプリングとダンパーを装備し、8mmのローダウンが図られている。EVとPHEVには、グレードを問わずリアにセルフレベリング機構を備えるエアスプリングが装着される。

550eには、ストローク依存型アダプティブダンパーを用いるアダプティブサスペンション・プロフェッショナルと後輪操舵が標準装備。i5 M60は、アクティブスタビライザーも備わるアダプティブMサスペンション・プロフェッショナルを採用する唯一のグレードだ。

少なくとも英国仕様に限っていえば、エンジンのラインナップはかつてほど多くはなく、ディーゼルは姿を消した。先代のM550iのような仕様もなく、味わい深いV8ツインターボを積むのは、M5だけとなりそうだ。

テストした550e xドライブのエンジンはB58型3.0L直6の312ps仕様で、197psのモーターを組み合わせる。総合出力は490psで、電動カムシャフト調整機構によりエミッション低減も図っているという。

このほかに設定されるのが、B48型2.0L直4で、マイルドハイブリッドで208psの520iと、PHEVで299psの530eに搭載される。もちろん、これ以外にEVのi5が選べるが、そちらはICEモデルより割高な価格となる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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