「頼もしい」復調のカギ アルファ・ロメオ・トナーレへ試乗 一貫性や調和が惜しいプラグインHV
公開 : 2024.04.28 19:05
激戦市場で、ブランドの復調を力強く支えるトナーレ プラットフォームはグランデ・プント由来のSCCS フル充電なら運動神経は高いプラグインHV 英国編集部が評価
もくじ
ーブランドの復調を力強く支えるトナーレ
ープラットフォームはグランデ・プント由来のSCCS
ー車内は競合より狭め やや力不足のマイルドHV
ー満充電なら運動神経は高い 惜しい一貫性や調和
ー初のモデルとして誇れる完成度 競争力は低くない
ーアルファ・ロメオ・トナーレ 1.3PHEV ヴェローチェ(英国仕様)のスペック
ブランドの復調を力強く支えるトナーレ
伝統あるイタリアン・ブランドの熱烈ファンには、冷遇されているかもしれない。しかし、業績を緩やかに好転させる功労者は、ジュリアではなく2種類のSUVだ。
中型SUVのステルヴィオは、生産終了が近づいている。それでも販売は堅調。小さくお手頃なミラノも控えているが、誰よりも力強く復調を支えているのはトナーレ。2023年には、全世界での販売数を30%も増加させ、欧州では約50%も増やした。
トナーレが属する、Cセグメントと呼ばれるクラスには競合も多い。BMW X1にボルボXC40など、いずれも実力派だ。プレミアムではない、プジョー3008やフォルクスワーゲン・ティグアンなども競争力は高い。
トナーレの強みは、アルファ・ロメオ流のデザインと、マイルドとプラグインという2種類のハイブリッド・パワートレイン。英国価格は約3万5000ポンド(約662万円)からに設定されている。
今回試乗したのは、主にプラグイン・ハイブリッドでトップグレードのヴェローチェ。イタリアで試乗したマイルド・ハイブリッドの印象も、交えてお伝えしたい。
スタイリングは、歴代のアルファ・ロメオの特徴を巧みに引用している。3連ヘッドライトは、1990年代の同社のSZから。ボディサイドのラインはGTから。丸い穴の開いたテレダイヤル・デザインのホイールは、定番といえるだろう。
とはいえ、フォルムは一般的なSUV的で、アルファ・ロメオ感は強くない。オーバーハングは長めで、ウエストラインは高め。ライバルより精悍に見えるものの、ひときわカッコいいとまではいえないように思う。
プラットフォームはグランデ・プント由来のSCCS
トナーレの全長は4530mmで、全幅1840mm、全高1600mm。Cセグメントでは、平均的な大きさにある。
プラットフォームは、ステランティス以前の、FCAグループだった頃に開発された「SCCS」。大幅な改良を受けているが、起源は2005年のグランデ・プントに遡る。
英国に導入されているパワートレインは、160psを発揮する電圧48Vの1.5Lマイルド・ハイブリッドと、280psを発揮する1.3Lプラグイン・ハイブリッドの2種類。前者が前輪駆動で、後者は四輪駆動だ。
プラグイン・ハイブリッドでは、4気筒のマルチエア・ターボユニットが前輪を駆動。単独で180psを生み出し、スターター・ジェネレーターも組まれる。後輪は、ERADと呼ばれる駆動用モーター・ユニットが担う。こちらは、122psの能力を持つ。
駆動用バッテリーは、15.5kWh。電気だけで最長61kmを走れると主張され、このクラスの平均より優れる。車重は1835kg。前後の重量配分は53:47だった。
サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式で、リアがマルチリンク式。コイルスプリングと、振動数調整式ダンパー(FSD)という組み合わせ。ヴェローチェ・グレードでは、アダプティブ・ダンパーへアップグレードされる。