航続距離は約350km? GクラスのEV版、4月24日世界初公開へ! メルセデス・ベンツ新型「G580」年内導入か

公開 : 2024.04.10 06:25

試乗してわかった電動Gクラスの「実力」

2022年に行ったプロトタイプへの試乗レビューを振り返っておきたい。開発責任者のシラー氏による運転で、筆者は助手席に同乗させてもらった。

自動車メーカーがこれほど早い段階で新型車を披露するのは珍しい。確かな自信がなければ、開発初期のプロトタイプに触れることは許されないだろう。

筆者は2022年にプロトタイプへ同乗試乗し、開発者の運転でテストコースの厳しい地形を走った。
筆者は2022年にプロトタイプへ同乗試乗し、開発者の運転でテストコースの厳しい地形を走った。    AUTOCAR

プロトタイプは砂利道のテストコースを軽快に走り抜け、やがて大きな岩が露出したトレイルに突入する。「クリーパーモード」と呼ばれるドライビングモードでは、4基の電気モーターとローレンジ付き2速トランスミッションにより、高いトラクションを発揮する。

その際、電気的なノイズや振動は感じられなかった。タイヤが岩の上を転がる音や、ホイールハウスの内側に当たる小石の音のみが車内に届く。ドライブトレインの洗練性は高く、オフロード車というより高級セダンに近い。

テストコースはかなり険しいものであった。あるところでは、タイヤが一本浮いた状態でバランスをとりながら、シーソーのように走った。またあるところでは、急な岩場をクモのようにクロールして進んだ。

ディファレンシャル・ロックの効果をモーター制御で再現し、最もトラクションのかかる車輪に集中的にパワーを送ることができる。従来のGクラスと同等の走破性能を持っているように思われた。

落差の激しい岩場を越える場面もあった。しかし、アクスルのアーティキュレーションとスプリングの可動域の広さによって、止まらずに走り続けることができたのだ。

平坦な道に出る直前、大きな岩がアンダーボディにぶつかり、強い衝撃を受けた。ステアリングを握るシラー氏は「こんな時に備えて、バッテリー・ケーシングの外装材を新たに開発したのです。もし、スチール製のケーシングだけだったら、今頃は不安になっていたかもしれませんね」と話す。

旋回半径は従来型よりも小さく、また高い着座位置とほぼ直立したフロントガラスにより優れた視認性を確保している。

砂に覆われた広いワインディングロードでは、130km/hを超える速度で走った。エアサスペンションが素晴らしい働きを見せ、段差や起伏を素早く吸収してくれた。

試乗の終盤、シラー氏はプロトタイプを停め、ダッシュボード上のボタンを操作し、ステアリングホイール左側のパドルを引いた。次にアクセルを踏み込むと、その場で360度回転してしまった。左右のモーターを逆回転させることで戦車のような超信地旋回を可能にした「Gターン」である。

歴代Gクラスと同様に、新型G580もオーストリアのシェークル山で開発が行われている。生産拠点に近い全長5.5kmの厳しいトレイルにおいて300回のテスト走行を終えた後、ようやく量産に入るのだ。

まだ明らかにされていない部分も多いが、少なくとも2022年の試乗では非常に高いオフロード性能を確認することができた。厳しい地形や急斜面を乗り越える姿は、まさに驚くべきものだ。完全電動で、車両重量も3トンを超えるかもしれないが、オフロードにおける能力はまさにGクラスそのものである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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