発電用「ロータリー」で新風! マツダMX-30 R-EV お値段以上のインテリア 長期テスト(1)

公開 : 2024.04.20 09:45

モーターは170ps 高速道路での燃費は振るわない?

ただし発電機だから、タイヤを直接動かすわけではない。マツダは、小さな自然吸気ユニットが生み出すパワーへ可能性を見出したらしい。結果として、830ccの排気量から74psと11.7kg-mを得ている。

MX-30は、CX-30とプラットフォームを共有している。電動パワートレインと同時に搭載するうえで、発電機の小ささは重要なポイントになった。ダイレクト・インジェクションと排気ガス再循環システムを組むことで、燃費も改善させている。

マツダMX-30 R-EV 170PS エクスクルーシブライン(英国仕様)
マツダMX-30 R-EV 170PS エクスクルーシブライン(英国仕様)

信頼性があまり高くないという、従来の特性を改めるため、新素材でコーティングされた部品をローターの頂部に採用。圧縮比は、RX-8の7.9から11.9へ高められている。

駆動用モーターの最高出力は、170ps。MX-30 EVから27ps強化された。最大トルクは26.3kg-mがうたわれる。0-100km/h加速は9.1秒と、ロータリーエンジンを積まないモデルより0.5秒縮めた。

これまで運転してみた感想としては、速さは充分。高速道路の合流も、まったく問題なくこなせる。

航続距離は、17.8kWhの駆動用バッテリー単体で最長85km。タンクに入る50Lのガソリンで発電することで、最長643kmを連続して走れると、マツダは主張する。

筆者は手始めに、カーブが続く郊外の道を80kmほど走らせてみた。回生ブレーキを活用した状態で、平均の燃費は17.0km/L。だが、高速道路の速度域では12.5km/Lと、余り振るわないようではある。これから距離を伸ばしていく中で、変化はあるだろうか。

どんな欠点を発見することになるのか?

長期テストにやってきた車両は、ミドルグレードのエクスクルーシブライン。パワーシートとプライバシーガラス、クロームメッキ・トリムなどが付いている。見栄えするソウル・レッド・クリスタル塗装は、1800ポンド(約35万円)のオプションだ。

周囲と異なる特徴を持つことが、必ずしもプラスになるとは限らない。しかしMX-30 R-EVは、魅力的なスタイリングとインテリアが与えられ、操縦性も好印象。どんな欠点を発見することになるのだろう。

マツダMX-30 R-EV 170PS エクスクルーシブライン(英国仕様)
マツダMX-30 R-EV 170PS エクスクルーシブライン(英国仕様)

セカンドオピニオ

MX-30 R-EVの発想は、筆者には魅力的に映っている。プラグイン・ハイブリッドより価格は抑えられ、カタログ上の燃費は優秀と、合理的な数字も並んでいる。

しかし、実際のメカニズムには多少の妥協が存在するようでもある。MX-30 EVと同等の航続距離を保ったまま、ロータリーエンジンによるバックアップを受けられた方が、より訴求力は高かっただろう。 マット・ソーンダース(Matt Saunders)

マツダMX-30 R-EV 170PS エクスクルーシブライン(英国仕様)
マツダMX-30 R-EV 170PS エクスクルーシブライン(英国仕様)

テストデータ

テスト車について

モデル名:マツダMX-30 R-EV 170PS エクスクルーシブライン(英国仕様)
新車価格:3万6650ポンド(約704万円)
テスト車の価格:3万8450ポンド(約738万円)

オプション装備

ソウル・レッド・クリスタル塗装+ブラックサイドパネル+ブラックルーフ:1800ポンド(約35万円)

テストの記録

燃費:100.2km/L(WLTP値)
故障:なし
出費:なし

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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