アドバンテージは変わらない! ポルシェ・タイカン 4Sへ試乗 アップデートで能力大幅アップ
公開 : 2024.04.12 19:05 更新 : 2024.04.18 09:43
操舵感と姿勢制御、乗り心地の融合
試乗車のタイカン 4Sには、ローンチコントロール時に最高出力を598psまで高める、パフォーマンスバッテリー・プラスというオプションが載っていたが、スタートダッシュは息が詰まるほど。これ以上速い必要はあるのかと、感じるほど。
シンプルな運転のしやすさは従来どおり。回生ブレーキは、ドライブモードで変化する。
新機能が「プッシュ・トゥ・パス」。ボタンを押すと、最大10秒間、追加のパワーが開放される。追い越し用なのだが、そもそもボタンを押す前からパワフル。一般道で必要になる場面は限られそうだ。
と、予算の25%が投じられた動力性能は間違いない。だが、タイカンらしいと感じさせるのは、素晴らしい重み付けのステアリングと、フラットなコーナリングを実現する完璧な姿勢制御、洗練された乗り心地という調和にある。
このクラスの高性能電動サルーンは複数存在するが、タイカンの水準へ迫るモデルは存在しない。車重を手中に収めながら、魅力的なドライビング体験を叶えている。
ここで興味深い新技術が、ポルシェ・アクティブ・ライドと呼ばれるサスペンション。油圧リザーバーがアダプティブダンパーに備わり、タイヤの上下動を個別に調整。乗り心地と姿勢制御を、高次元で両立させるシステムだ。
バイクがハングオンするように、旋回時に内側へボディを僅かに傾けたり、加速時は前へ、減速時は後ろへ傾ける制御で、水平を保つことができる。ポルシェによると、快適性を向上させるオプションとのことで、車重は30kg増えるという。
特別なアドバンテージに変わりはない
文面ではイメージしにくいかもしれないが、自然な操縦性へ影響はない様子。ドライブモードがノーマルの時に、最も効果を感じられる。スポーツ・モードでは介入が小さくなり、スポーツプラスではオフになる。
筆者は、ノーマル・モードでも殆ど察知できなかった。そもそも姿勢制御はタイト。ロードノイズも小さいから、オンロードでのマナーは素晴らしい。
ボディのシルエットは従来どおりだから、乗降性は変わらない。車内空間は充分で、前席側なら高身長の大人でも快適。後席も、平均的な大人なら問題なく長時間過ごせるはず。
ダッシュボードの操作系や、インフォテインメント・システムも改良。アップル・カープレイは高度な統合へ対応し、ネイティブのOSへ切り替えることなく、車両設定の変更もできるようになった。
またモニターには、航続距離や駆動用バッテリーの温度、充電速度などの情報が表示される。ケーブルをつなぐと、充電量などをリアルタイムで確認でき、有用に感じた。
4年前、満点といえる評価を獲得したタイカン。当時のバッテリーEVとして、出色のドライバーズサルーンにあった。
2024年のアップデートを受け、その地位を堅持したことは間違いないだろう。最終的な評価には、詳細なテストを英国で実施する必要はあるけれど。
タイカンを取り巻く環境は、この数年で大きく変わったといえる。しかし、タイカンを特別なものとしているアドバンテージに、変わりはない。
ポルシェ・タイカン 4S(欧州仕様)のスペック
英国価格:9万5900ポンド(約1841万円)
全長:4963mm
全幅:1966mm
全高:1379mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:3.7秒
航続距離:476-560km
電費:4.8-5.6km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2170kg
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:82.3kWh(実容量)
急速充電能力:320kW
最高出力:543ps(システム総合)
最大トルク:70.7kg-m(システム総合)
ギアボックス:1速リダクション(フロント)+2速オートマチック(リア)(四輪駆動)