トップ交代! ポルシェ・タイカン・ターボGTへ試乗 怒涛の1108馬力 真っ当な「GTシリーズ」か

公開 : 2024.04.14 19:05  更新 : 2024.04.18 09:44

タイカン・ターボSから1108馬力へ引き上げたターボGT 息が苦しくなる加速力 コーナリングも見事 ポルシェの「GTシリーズ」として真っ当か? 英国編集部が評価

ポルシェの「GT」として真っ当か

ポルシェは、モデルを進化させる過程で、GTを名乗る高速仕様を追加してきた。タイカンにGTが登場しても、まったく不思議ではない。ただし、2019年に1100馬力超えのターボGTを発表していたら、暴力的な速さへ否定の声があがった可能性はある。

同社は、タイカンの限界を探求したと主張するかもしれない。しかし、ロータスエメヤ RやテスラモデルS プレイド、ポールスター5などが、強く意識されたことは間違いないだろう。

ポルシェ・タイカン・ターボGT ヴァイザッハ・パッケージ(欧州仕様)
ポルシェ・タイカン・ターボGT ヴァイザッハ・パッケージ(欧州仕様)

AUTOCARでは、モデルS プレイドの動力性能を実際に確かめている。0-100km/h加速は2.4秒で、最高速度は257km/hだった。対するタイカン・ターボGTは、特別なボタンを押す必要はあるが、2.1秒と305km/hが主張されている。

イーロン・マスク氏は、ドイツ・シュツットガルトの技術者を軽視しない方が良い。テスラ・ロードスターには、さらなる努力が必要になるだろう。

それではタイカン・ターボGTは、ポルシェの「GT」として真っ当なのか。ニュルブルクリンクとラグナセカ・レースウェイで、ラップレコードを更新したと同社は主張する。だが発表の場に、部門を率いるアンドレアス・プロイニンガー氏はいなかった。

恐らく彼は、他のGTシリーズと同列にはしたくないと、考えているのではないだろうか。911 GT3や718ケイマン GT4などと。

ポルシェも、それらとタイカンのターボGTとの間に、一線を引いているような気がする。BMWが、本物のMモデルと、Mパフォーマンスを区別するように。詮索するようではあるけれど。

ターボSと同モーターで1108ps ヴァイザッハなら2220kg

2基の駆動用モーターはタイカン・ターボSと同じ。駆動用バッテリーも同じ。900Aの大電流を許容するインバーターを備え、リアには強化された2速ATが組まれるが、基本的に特別なアイテムは採用されていない。

とはいえ、スペックに不足はない。フォーミュラEマシンの技術を応用した、パワーコントロール・ソフトウェアを実装。最高出力1108ps、最大トルク136.3kg-mという、桁違いの動力性能を獲得している。フルパワーは、短時間しか引き出されないが。

ポルシェ・タイカン・ターボGT ヴァイザッハ・パッケージ(欧州仕様)
ポルシェ・タイカン・ターボGT ヴァイザッハ・パッケージ(欧州仕様)

シャシー回りでは、タイカンとして唯一、カーボンセラミック・ブレーキを標準装備。専用チューニングの、ポルシェ・アクティブ・ライドと呼ばれるアダプティブ・ダンパーが組まれる。

見た目を差別化するのが、専用のボディキット。アルミホイールは21インチの鍛造だ。タイヤはピレリPゼロで、ターボGTのために開発されたという。車内には、カーボン製バケットシートが2脚載る。

車重はターボSより5kg軽い。基本的に2t超えだから、小さな違いとはいえるだろう。それでも、無償オプションのヴァイザッハ・パッケージを組めば、更に70kgダイエットでき2220kgに仕上がる。

これには、リアのカーボン製ウイングとアンダーボディ・パネルなどが含まれる。防音材は削られ、窓ガラスも肉薄になる。2基ある充電ポートは1基になり、電動アクチュエータが省かれ、リアシートとボーズ社製サウンドシステムも載らない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事