世界一美しいクーペ=147+156 アルファ・ロメオGT V6ブッソ・ユニットも搭載 UK中古車ガイド

公開 : 2024.05.07 19:05

当時の147と156を融合したGT 3.2L V6ブッソ・ユニットも搭載 アルファ・ロメオ好きなら気に入る要素は多い 人気は不調で生産は少数 英国編集部が魅力を再確認

ハッチバックの147とサルーンの156がベース

多くの場合、新モデルは市場のニーズやギャップを埋める目的で誕生する。しかし、タイプ937のコードネームを持つアルファ・ロメオGTは、生産工場のギャップを埋めるために開発された変わりモノだ。

その工場とは、トリノのコーチビルダー、ベルトーネが有する施設だった。フィアットプント・カブリオレの生産が終わり、労働力維持のため新たな仕事が必要になっていた。

アルファ・ロメオGT(2003〜2010年/英国仕様)
アルファ・ロメオGT(2003〜2010年/英国仕様)

そこでベルトーネは、ハッチバックの147とサルーンの156をベースにした、実用的な4シータークーペをデザイン。アルファ・ロメオへ提案したのだ。

ただし、アルファ・ロメオは既にクーペのGTVを提供していた。その後継モデルとして、ブレラの開発も進められていた。ベルトーネのクーペとコンセプトは似ていたが、その工場での生産は想定されていなかった。

他方、アルファ・ロメオは品質向上を目的に、ベルトーネへ多額の投資も行っていた。最終的には、147と並行するカタチで新たなクーペの生産が決定した。

かくして、GTは2003年に発表。しかし147や156の方が価格は安く、より速く、販売は芳しくなかった。2005年には、コンセプトカーの見た目そのままでブレラも登場。2004年に世界で最も美しいクーペの称号を得るが、生産は2010年に終了した。

2024年に見るGTは、147や156に劣らず魅力的。英国市場では、1.8Lと2.0Lの直4に3.2L V6のガソリンのほか、1.9L直4ディーゼルターボと、4種類のエンジンから選べる。ディーゼルターボなら、英国では1500ポンド(約29万円)から探せる。

3.2L V6ブッソ・ユニットも搭載 生産数は少ない

荷室容量は320Lで、リアシートは折りたたみ可能。実用的なスポーツカーとしてディーラーへ並んだが、アルファ・ロメオ・マニアは内装や部品を147と共有することを批判した。ところが今では、スペアパーツが入手しやすいというメリットになっている。

人気が高いのは、2.0LガソリンのJTS。165psの最高出力を発揮する。伝説の技術者の名を受け継ぐブッソ・ユニット、 3.2L V6エンジンも支持は高い。24バルブで、240psを発揮する。

アルファ・ロメオGT(2003〜2010年/英国仕様)
アルファ・ロメオGT(2003〜2010年/英国仕様)

AUTOCARでは、V6エンジンの排気音へ聴き惚れ、パワフルさを好み、滑らかなMTへ夢中になった。ところが本領を発揮させると、前輪駆動のシャシーが受け止めきれないことも発見した。トルクステアも酷かった。

ディーゼルは、150psの1.9L JTDmでスタート。リミテッドスリップ・デフが組まれたクアドリフォリオQ2には、170ps仕様が載っている。

インテリアは、アルカンターラかレザー。エアコンにパーキングセンサーなど、装備は充実している。アルミホイールは、16インチから18インチまで用意された。

英国では、豪華装備のルッソも登場。18インチ・ホイールにブラックの塗装、ブラック・レザーの内装などでコーディネートされていた。クアドリフォリオは、V6エンジン以外に設定。エンツォを名乗る18インチ・ホイールなど、人気アイテムも存在する。

現役時代は人気を集められず、少数の生産で終わったGT。しかし、アルファ・ロメオ好きなら気に入る要素は少なくない。多くの人が魅力へ気付く前に、状態の良い1台を探してみてはいかがだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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