モーガン・プラスシックス 詳細データテスト 操縦性はクラシックとモダンの中庸 侮りがたい動力性能

公開 : 2024.04.20 20:25  更新 : 2024.04.21 11:34

結論 ★★★★★★★★☆☆

主要メーカーのパワートレインをきわめて効果的に使い、賢明なアップデートを施し、少量生産メーカー向けのルール内でうまく立ち回り、モーガンは成功しているようだ。もちろん、そのルールによって販売台数が制限され、プラスシックスの価格が下がらないのも事実だ。とはいえ、大富豪のガレージを飾るクルマであれば、それは問題ではないだろう。

客観的に評価すれば、BMW Z4ポルシェ718ボクスターのほうがいいクルマとなるのは疑う余地がない。価格もお手頃だ。しかしモーガンが、その事実に脅かされることはないだろう。プラスシックスは所有しやすく、現代的なスポーツカーとしてみても評価に堪えうる性能を備えている。

結論:個性を重視するオーナーのためのスポーツカーは、手直しを受けて改良を遂げた。
結論:個性を重視するオーナーのためのスポーツカーは、手直しを受けて改良を遂げた。    JACK HARRISON

それでいて、個性を重んじるひとびとに訴求するようなキャラクターとスタイルは健在だ。言い換えるなら、先に名前を挙げたような競合車では当たり前すぎてつまらない、と考えるオーナーへのアピールはバッチリというわけだ。

プラスシックスに問題があるとするなら、より安価で軽量なプラスフォーのほうが走らせて気持ちいいということ。陽キャで騒がしい4気筒のほうが、このクルマの雰囲気にフィットしているのも事実だ。たとえそうだとしても、それはモーガンにとってうれしい悩みだ。また、6気筒のパワーやサウンド、ステータスに抗い難いというユーザーがいても、それを否定するつもりはない。

担当テスターのアドバイス

イリヤ・バプラート

オートカーのポッドキャストで、スティーブ・クロプリーが言っていた。長いボンネットのクルマが気分をよくしてくれるのは、自分の手に入れたクルマの姿を常に視界に入れておけるからではないか、と。たしかにそうかもしれない。そして、モーガンはまさしくそれにあてはまる。

マット・プライアー

少量生産メーカーに、専用設計のプッシュボタン式スイッチを望むのは、安全基準的に難しい。それを考えると、モーガンのそれはなかなかみごとだ。

オプション追加のアドバイス

われわれとしては、MTのプラスフォーを選びたい。乗り心地もハンドリングも心地よく、エンジン音はワイルドだ。エアコンは必須のオプションだ。高級感は求めなくても、窓の曇り止めに必要となる。あとはじっくりコンフィギュレーターとにらめっこして、好みの仕様を作り上げよう。

改善してほしいポイント

・フードとドアの改良は続けてほしい。
・オプションにLSDの追加を。
・9万ポンド超えのクルマに相応しいキーを。eBayで買ってきたような安っぽいものではなく。

記事に関わった人々

  • 執筆 / アートワーク

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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