モーガン・プラスシックス 詳細データテスト 操縦性はクラシックとモダンの中庸 侮りがたい動力性能

公開 : 2024.04.20 20:25  更新 : 2024.04.21 11:34

内装 ★★★★★★★★☆☆

初期モデルに対して、内装における最大の変更はエアバッグの装着だ。それに伴うダッシュボードの形状変更が必要となったが、改修前を知らなければ気にならないはずだ。ステアリングホイールは、いかにもエアバッグ付きという形状。ブラックかシルバー、もしくはボディ同色が選べるアルミのダッシュボードパネルは、助手席エアバッグの内蔵により、小さなグローブボックス以外の収納スペースがなくなってしまった。

ダッシュボードの中央には、アナログの時計と回転計、速度計が埋め込まれているが、スピードは運転席前のディスプレイでも確認できる。実用的に考えれば、アナログメーターは飾りということになるが、そういう演出が大事なのがモーガンというクルマだ。

エアバッグも備わったインテリアは、モーガンらしいクラフトマンシップあふれる作りだが、一部の他社製を流用した部品に質感の低さが見られる。
エアバッグも備わったインテリアは、モーガンらしいクラフトマンシップあふれる作りだが、一部の他社製を流用した部品に質感の低さが見られる。    JACK HARRISON

二次的コントロール系のプッシュボタンの働きは文句なく、空調のダイヤル式ノブもまた然り。しかし、温度や風量は運転席ディスプレイでしか確認できない。

残念なのは、PSA系のシフトパドルとコラムレバーに代わるパーツを、モーガンが見つけられなかったこと。フェラーリアルファ・ロメオのパドルは、大きくて使用感の満足度も高いが、モーガンのもろそうなプラスティックのパドルは、ステアリングを切ると見つけにくくなってしまう。またレバーは、内装のほかの部分のクラフトマンシップに並ぶと、明らかにそぐわない。

それ以外は満足の仕上がりだ。センターコンソールとダッシュボード下部のウッドパネルはさまざまな種類から選択可能。レザーはすばらしくソフトな感触で、デザインが手直しされたドアパネルには目を引くファブリックが張られている。

全体的には、みごとにデザインされたインテリアで、これ見よがしに最新技術を詰め込むトレンドへのアンチテーゼとみることもできる。エアコンやシートヒーター、Bluetoothスピーカーシステムはオプションながら、必需品は用意されており、しかしそれが目につかないようになっている。

ドライビングポジションは、クラシックなスポーツカーのそれ。低く、足を伸ばして座り、上下と前後の調整が効くステアリングホイールを胸元に近づけた姿勢だ。レッグルームは広く、運転席はあまり類のないくらい背の高いドライバーにも向いたスペースとなっている。

逆に背の低いテスターは、快適に扱うにはステアリングホイールがちょっと近すぎると訴えた。シートは手動式で、背もたれ調整のレバーは手が届きやすいよう配置が見直された。テスト車のコンフォートプラスシートには、ランバーサポートと太ももサポートのために手動ポンプがふたつ備わっていた。非常に快適だったが、かなりの長距離を走ると背中がやや痛くなった。

長距離ドライブに供するには、荷物の積載性というもうひとつの懸念材料もある。メインとなる積載スペースはシートの背後で、ソフトバッグふたつくらいは収まるだろうが、それ以上は助手席に置くか、オプションのラゲッジラックを装着するかする必要がある。

記事に関わった人々

  • 執筆 / アートワーク

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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