モーガン・プラスシックス 詳細データテスト 操縦性はクラシックとモダンの中庸 侮りがたい動力性能

公開 : 2024.04.20 20:25  更新 : 2024.04.21 11:34

走り ★★★★★★★★★☆

プラスシックスのパフォーマンスデータには、軽量さと空力における教訓が見て取れる。エンジンと8速ギアボックスは、2019年にテストしたトヨタGRスープラと同じものだ。しかし、スープラのウェイトが1495kgなのに対し、今回のモーガンは1188kgにとどまる。

ウェットコンディションでプラスシックスをクリーンに発進させるには、多少の慣れが必要だ。エンジンがパワーバンドに達すると、1〜3速なら簡単にホイールスピンしてしまうのである。中速域に入れば、シフトアップの際にエンジン回転をそこまで上げなくてもいいので、運転は楽になる。

軽量かつハイパワーゆえに、スムースな発進には慣れが必要。また、200km/h以上の領域では空力の壁を感じる。しかし、常識的な速度域で走る分には満足度が高い。
軽量かつハイパワーゆえに、スムースな発進には慣れが必要。また、200km/h以上の領域では空力の壁を感じる。しかし、常識的な速度域で走る分には満足度が高い。    JACK HARRISON

ドライコンディションでは、スープラのほうがクリーンなスタートを決めるが、プラスシックスはすぐに追いつく。0-97km/h加速タイムは、どちらも4.4秒だ。モーガンもドライで走らせたなら、4秒をわずかながら切るだろう。0-161km/hはモーガンが1.4秒勝るが、209km/hに達する時点では1.2秒差に縮まる。この辺りからは、空気の壁との戦いが厳しくなるからだ。

プラスシックスで161km/h以上を出すのは、パフォーマンスカーの多くでそれを試みるより冒険的となる。安定感は抜群だが、フードとサイドスクリーンをつけたまま過剰な速度で走ることが推奨されていないからだ。オープンで225km/h出すと、かなりキツいことになる。とくに小雨が降ってくると、フロントウインドウの内側に吸い込まれてくるので、常に窓拭き用の雑巾を用意しておかなければならない。

一般道をドライブするなら、パワートレインはすばらしく、車体の軽さもあって全域でパンチの効いた走りを見せる。エンジンは上質すぎるくらいだが、スポーツエキゾーストがうるさすぎない程度の荒々しさを控えめに演出。これは外せないオプションだ。中回転域ではややV6のような音になることもあるが、それも悪くない。

ギアボックスのソフトウェアにも手が入り、自動変速モードでのダウンシフトが鋭くなったほか、スポーツモードはよりスポーティな味付けに。スタンダードなDレンジではポルシェのPDKと張り合おうとしたようで、強引に低いギアを選んでいくがぎこちなくはない。スポーツカーらしさを感じさせる。

スポーツモードではより機敏になり、ブレーキング時にシフトダウンを行うが、不必要にギアをホールドすることはない。多くの主流メーカーのクルマよりよくできている。マニュアルモードのレスポンスも良好だ。

ブレーキは最初、どれだけ強く踏まなければいけないのかとうんざりさせられるかもしれない。そのフィールはアシストなしのようだ。しかし、ほかのライトウェイトスポーツに慣れ親しんでいれば、これくらいは当たり前だと思うだろうし、モーガンのブレーキはじつに調整しやすいと思うだろう。ABSの作動も申し分なく、高速からの制動でもまったく怖さは感じない。

記事に関わった人々

  • 執筆 / アートワーク

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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