アウディTTオフロード・コンセプト & TTスポーツバック・コンセプト
公開 : 2014.12.10 23:50 更新 : 2017.05.29 18:15
中でもシューティング・ブレークは、スタンダードのTTクーペやTTロードスターとディメンションが近く、製品化もそう難しくないと言われているが、シュタートラー会長は特にドアを5枚持ったTTスポーツバックとTTオフロードがお気に入りのようだ。
一般的なコンセプトカーといえば、まずは聴衆の耳目を集めることを考えているため、近寄ってみるとあまり現実的でない未完成の部分が残っているのも事実。ただ、カンヌのとある遊歩道に轡をならべる2台を見ると、すでにプロダクションカーと呼んでも違和感がないほど完成度が高いことが程なくしてわかった。
デザイン・チームを率いるマーク・リヒト氏によって拵えられたTTオフロードとTTスポーツバックのルックスは、バウハウスのデザイン概念に大きく影響を受けたという1996年のTTを強く思わせる。それぞれの使用用途やマーケットは違えども、共通の言語を用いていることがよくわかる。
六角形状のシングル-フレーム・グリルや台形のヘッドライト、クラムシェル・ボンネット、ホイール・アーチ、ラインの明確なショルダー部、上下方向に小さいサイドガラスやCピラーの処理がそう思わせるのは言うまでもない。
そして何より驚きなのは、もともと個性の強いTTのデザインが驚くほど自然に5ドアのモデルにも馴染んでいるということ。なめらかな角度をもつTTオフロードの後部はきっと、これまでのSUVに対する概念を大きく変えることになるはずだ。
コンセプトカーのボディは親会社であるフォルクスワーゲンが開発したMQBプラットフォームの上に乗る。そうすることによって追加分の2枚のドアをしつらえることができるからだ。TTオフロードのホイールベースは2630mm、TTスポーツバックはそれよりほんの少しだけ長い2637mmとなる。現行のTTクーペ/ロードスターより、それぞれ125mmと132mm長く、大人2人が余裕をもって座ることのできる前後スペースが確保されている。
Q3に比べると、全長わずか15mm、全幅も20mmしか変わりがないうえに最低地上高が60mmも下がっていることから、TTオフロードの開発へゴーサインが出るにはその棲み分けをより明確にしなければならないという問題も目の前に立ちはだかっているということは、目を逸らすことのできない事実でもある。