アルファ・ロメオ 車名に “ケチ” つけた政治家へ苦言「名前より雇用守る努力をせよ」 中国企業に危機感
公開 : 2024.04.22 18:05
アルファ・ロメオは新型SUV「ミラノ」の車名を「ジュニア」へと変更した。イタリア当局の指摘を受けたものだが、実際には法律に違反しておらず、政治的駆け引きを避けるために変更したという。同社CEOの “本音” は。
政治的駆け引きを避けるための判断
イタリアの自動車メーカーであるアルファ・ロメオは、4月に発表したばかりの新型SUV「ミラノ(Milano)」の車名を「ジュニア(Junior)」へと変更した。
ミラノという車名は、アルファ・ロメオの故郷であるイタリアの都市にちなんで名付けられた。しかし、イタリアのアドルフォ・ウルソ産業相は、地理的名称は国内生産品にのみ使用できるという法律に違反しているとして車名変更を求めていた。
これを受けてアルファ・ロメオは車名を変更したが、同社のジャン・フィリップ・インパラートCEOは政治家に対し、ブランド名よりも自動車産業の雇用を守るために力を尽くすよう求めた。
新型ミラノは、ポーランド・ティチーの工場で生産される。イタリア国内で生産されるわけではない。だが、ウルソ産業相が指摘する法律は通常、パルミジャーノ・レッジャーノ・チーズなどに適用されるものだ。
インパラートCEOは取材に対し、ミラノという名称は法律に違反しないが、政治的な問題に巻き込まれるのを避けるために変更を決意したと語った。
「法律で禁止されていると言われたとき、わたしは『落ち着け。わたしは政治的な駆け引きをするためにここにいるのではなく、将来にわたって持続可能なアルファ・ロメオを作るためにここにいるのだ』と考えました」
インパラートCEOによると、ミラノという車名採用が明らかになったのは昨年12月のことで、プラットフォームを共通化するジープ・アベンジャーやフィアット600eとともにポーランドで生産されることは何年も前から分かっていたという。
「2021年以来、Bセグメント車を求めているジュリエッタやミトのオーナー様の期待に応えようと思ったら、プラットフォームに従う以外に解決策はありませんでした」
親会社ステランティスの下、他ブランドと基本構造を共有しながら新たに小型のSUVを作るにあたって、イタリア国内での生産は難しいと判断したようだ。
インパラートCEOはまた、ステランティスが設立された2021年1月当時、アルファ・ロメオは「数億ユーロ」の赤字を出していたが、現在は黒字であり、2025年と2026年に予定されている新型2車種はイタリアで生産されると述べた。
ステランティスの中~大型車用プラットフォームで自動車を生産するのは欧州で唯一イタリアだけであり、「わたしの戦略の5車種のうち、4車種はイタリア製です」とした。